2019年6月24日(月)

仕事って何 「脳がちぎれるほど考えよ」  (孫正義ソフトバンク社長)

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2014/4/12 7:00
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――英ボーダフォン日本法人や米スプリントなど、兆円単位の買収を仕掛けてきました。どんな勝算があったのですか。

「『資金があるから事業をやる』ではなく『何をしたいか』で事業を決めることが大事。ソフトバンクはモバイルインターネットの分野で成長を目指すと決め、情報革命で人々を幸せにするという理念を掲げた。ボーダフォン日本法人の買収は2兆円近くを投じる大ばくちだったが、携帯電話事業への参入はソフトバンクにとって欠かせない選択だった」

「後押ししてくれたのが私の同志である、ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正さん。『本気でモバイルネットに攻め込むなら、ボーダフォン日本法人を買うリスクより、買わないリスクの方が大きい』という柳井さんの一言で決断した」

「やみくもに突き進むのではなく、戦うためには武器も必要だ。ボーダフォン日本法人の買収は、多くの人に『うまくいくはずがない』と言われたが、私は『日本で一番になる』と言い続けてきた。アップルのスマートフォン『iPhone』が世に出る前から、創業者の故スティーブ・ジョブズと日本での独占販売権について約束を交わし、収益源になると見通していたからだ」

――事業を手掛ける上で判断に迷うことは。

「義と利のどちらを選ぶか。東日本大震災の時に考えさせられた。我々の電波があと10メートル、20メートルでも届いていたら、1人でも多くの命を救えたかもしれない。その反省から3兆円ほどのお金をかけて一気に通信網を整備した。お金がかかるとかは問題ではなく、義を取る必要もある」

「志を共にする者を集めることも大事だ。アイデアを考えるくらいなら1人でできるが、革命的なことをなすには仲間を集めなければならない。良いときも悪いときも、本当に志を共有できる仲間こそ頼りになる」

(学生向けに話した内容と書面回答をもとに再構成しました)

【私のこだわり】 時代は追わず、仕掛けて待つ

孫社長が常に心に念じているのが「時代は追ってはならない。読んで仕掛けて待たねばならない」という言葉だという。既にあるモノをちょっと変えて売る、という程度のモノはどのみち続かない。「新しい時代を作るんだ、世界中の人に興奮を与えるんだ」というくらいの情熱が必要と説く。先を読む冷静な目と熱い情熱とが混在しているところが、孫流経営らしさかもしれない。

(川上尚志)

[日経産業新聞2014年4月2日付]

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