世界のインフラ市場 日本、高度成長の技術で攻略 IHI、清水など、建設技術に強み

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2012/6/5 12:36
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世界経済をけん引する新興国でヒトやモノの流れを担うのが高速道路や鉄道など輸送関連のインフラ(社会基盤)だ。2030年までの投資額は1200兆円規模との試算もある。日本が戦後の混乱期を乗り越え、高度経済成長を実現できたのもインフラの整備に力を注いだからだ。そこで蓄えた技術力を世界で生かせるのか。現場から報告する。

5月26日、イタリアのミラノ市内ではIHIが来年からトルコで建設予定の「イズミット湾横断橋」の風洞実験が開かれた。現場に立ち会った同国のユルドゥルム運輸・海事・通信相は設計強度が確認されたと聞くと「一日も早く完成させてほしい」と笑顔を見せた。

■中韓企業を破る

総事業費860億円、全長3000メートルの巨大つり橋はイスタンブールと南部の工業地帯を結ぶ高速道路の要衝だ。昨年秋に伊藤忠商事と受注に成功。政府開発援助(ODA)に頼らず、中国と韓国の企業に競り勝てたのは技術力と官民連携という理由がある。

IHIがトルコで建設を手掛けたボスポラス第2大橋。この実績が評価され、イズミット湾横断橋の受注にもつながった。中央はIHIの釜和明会長、その左隣がインフラ事業担当の井元泉取締役

IHIがトルコで建設を手掛けたボスポラス第2大橋。この実績が評価され、イズミット湾横断橋の受注にもつながった。中央はIHIの釜和明会長、その左隣がインフラ事業担当の井元泉取締役

橋梁の技術力は通常、「主径間長」で評価される。空にそびえる橋の支柱の間の距離が長いほど橋桁が重くなり、支柱への負荷がかかる。当然、強度設計や施工が難しくなる。世界トップはIHIも関わった明石海峡大橋の1991メートル。中国が09年に完成させた同2位の舟山西侯門大橋は300メートル以上も短い。

イズミット湾横断橋はつり橋の主径間長が世界4位の1500メートル程度。難しいのはイズミット湾地区は1999年に死者1万7000人を出したトルコ北西部大地震の震源地であることだ。マグニチュード8を超える揺れに対応できる設計技術が必要なだけにIHIが強さを発揮した。

ただ、IHIの橋梁技術者として瀬戸大橋などを手掛け、現在はインフラ事業を統括する井元泉取締役は「政官民一体とならなければ、受注は難しかった」と振り返る。

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