アジア攻略へ JBIC、インド社へ出資 商船三井、ベトナムで港湾

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2012/6/5 12:37
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日本政府は4月、ミャンマーには過去最大規模となる約3000億円の債権放棄を決めた。今後は円借款が再開される見通しで、日本企業の本格的な進出が相次ぎそうだ。大手商社が基幹鉄道網の近代化や港湾の建設の検討を始めている。

インド、インドネシア、ベトナム、ミャンマーの4カ国は政府の手厚い支援もあり、日本企業が強い存在感を発揮できる可能性がある。日本が輸送関係のインフラ大国として存在感を発揮するには負けられない市場と言えそうだ。

<相手国が主導、計画難航 人材育成など課題>

日本企業にとって海外でのインフラ事業は相手国の政府が主導権を握るケースが多く、一筋縄では行かない。日本とインドネシアの両政府が進める首都圏投資促進特別地域(MPA)計画でも最近、日本企業を嘆かせる事態が相次いでいる。

ジャカルタ北部のタンジュンプリオク港の拡張工事では4月、同国政府が競争入札を実施せず、国営港湾会社ペリンド2を直接指名した。また、ジャカルタ国際空港の拡張でも国営空港会社アンカサ・プラ2が独自の基本計画に基づき、7月にも工事を始める方針。

いずれも日本側が基本計画の立案から関与してきたMPAの中核プロジェクトだ。日本企業の間では受注に向けて期待が強かっただけに落胆も大きい。ただ、インフラ建設が動き出す段階になれば、なかなか主導権を握れない。今後、インドなどでも同様の状況が予想される。

また、海外では建設工事などを計画通りに進められる保証はなく、採算確保は容易ではない。

ベトナムのラックフェン港事業に出資予定の日本郵船の丸山英聡経営委員は「ベトナムの工事は1~2年遅れることもざらで、どのように関わるかは白紙」と語る。

同社としてベトナムを重要視しているが、ラックフェン港は世界有数の港湾整備なだけに工事の遅れなどが起きかねない。事業会社への出資方針を崩してはいないが、採算性を含めて一段と厳しく精査していく。

日本企業は海外で苦い経験もしてきた。アルジェリアの高速道路は鹿島や大成建設などゼネコン大手がすでに巨額の特別損失を計上し、完成も13年秋以降と3年以上は遅れる見通しとなった。

国内で巨大インフラをいくつも築いてきた技術や経験を海外で発揮するには多くの課題を克服する必要がある。現地での人材育成などを含めて早急に世界で戦える体制を築く必要がありそうだ。(京塚環、高橋里奈、ジャカルタ=渡辺禎央、ニューデリー=岩城聡)

(日経産業新聞6月5日付から「NIPPON発インフラ力 第4部 世界の大動脈を築く」掲載)

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