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沖縄県の億首ダムが完成、貯水容量は旧ダムの10倍

沖縄県金武(きん)町を流れる億首川に建設していた億首ダムが完成し、2014年2月1日に竣工式が開催された。同ダムはダム本体の設計に「台形CSG(Cemented Sand and Gravel:セメントで固めた砂れき)」を国内で初めて採用した多目的ダムである。作業ヤードや工事用の道路を3月末までに撤去し、4月1日から供用を開始する。

完成した億首ダム(写真:沖縄総合事務局北部ダム事務所)

米軍が水道専用のダムとして造った金武ダムを再開発するため、金武ダムの約120m下流に建設した。金武ダムは米軍海兵隊によって1961年に完成した堤高13mのアースダムで、総貯水容量は81万8000m3(立方メートル)。ダムの管理は1968年に当時の琉球政府に移管した後、沖縄の本土復帰に伴って1972年から沖縄県が引き継いだ。億首ダムの完成によって金武ダムは、ダム湖に沈んでいる。

金武ダムを造った億首川はかんがい用水としても利用されているが、度々深刻な水不足が発生していた。特に、1981年から1982年にかけての渇水時には326日間にわたる給水制限を余儀なくされた。一方、2000年と2007年、2009年に発生した集中豪雨では、下流域や上流域に浸水被害が生じている。

採用時には台形CSGの規定がなかった

完成した億首ダムの堤高は39mで堤頂長は461.5m、台形CSGで築いた堤体積は33万9000m3に及ぶ。総貯水容量は856万m3で、金武ダムの約10倍。利水に加え、洪水調整と下流の河川流量の安定化などを担う。事業費は約490億円。

億首ダムの断面図(資料:沖縄総合事務局北部ダム事務所)

億首ダムの建設予定地の一部には脆弱な岩盤があり、良質な骨材を得にくかったことなどから、重力式コンクリートダムの採用は困難だった。各課題の解決方法を検討した結果、現場付近の砂れきを利用できる台形CSGの採用を決めた。

台形CSGダムは当時の河川管理施設等構造令に規定されていなかったことから、2002年6月に国土交通大臣の特認を得て採用した。

工事を発注した内閣府沖縄総合事務局によると、台形CSGダムとしては北海道の当別ダムが先に完成しているが、ダムの設計に台形CSGの採用を決めたのは億首ダムが初めてという。

億首ダムの本体工事は、大成建設・國場組・丸政工務店JV(共同企業体)が担当した。2009年3月に着工し、2011年9月に本体の打設を完了。2012年9月から2013年6月にかけて試験たん水を実施した。本体工事ではCSGの締め固めにGPS(全地球測位システム)やパソコンを搭載した転圧ローラーを採用するなど、ICT(情報通信技術)を活用した施工管理を実施した。

(フリーライター 山崎一邦)

[ケンプラッツ 2014年2月4日掲載]

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