必然だったビットコイン騒動 原点は20年前に
編集委員 関口和一

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2014/3/6 7:00
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3番目のタイプが「ネットワーク型」と呼ばれる電子マネーだ。現金の価値が電子データとしてインターネット上を流通していく仕組みで、その元祖にあたるのが「eキャッシュ」である。オランダでデジキャッシュを創業したデビッド・チャウム博士が1989年に考え出した。ビットコインもこの流れをくんでいる。ネット上を現金の価値が転々と流通し、匿名性が高いことから真の「仮想通貨」と呼べる電子マネーと言ってよい。

■「ビットコイン論文」に欠けていたもの

記者会見で頭を下げるマウントゴックスのカルプレス社長(2月28日午後、東京・霞が関)

記者会見で頭を下げるマウントゴックスのカルプレス社長(2月28日午後、東京・霞が関)

実は日本銀行が1999年、NTTと組んでICカード型の電子マネー「スーパーキャッシュ」の実証実験を行ったことをご存じだろうか。実用には至らなかったが、プロジェクトに関わった日銀出身の岩村充早稲田大学教授は「ビットコインの登場は電子マネーに対する需要が今も根強いことを物語っている」という。

岩村教授はビットコインの理論的背景となった「サトシ・ナカモト」と名乗る人物の論文も読んでみたそうだ。「残念ながら、内容は不十分なものだった」と語る。ビットコインは理論上、2100万ビットコインが発行額の上限で、それが貨幣としての希少性を担保しているとされる。しかし、もしビットコインを実物経済の決済手段として将来使っていくなら、「需要に合わせて、採掘コストを上げずに供給できる仕組みが必要だった」と岩村教授は指摘する。

ビットコインはもともと投機を目的にしたものなのか、電子マネーの需要に乗って偶然広がってしまったものなのか、実態はよくわからない。マウントゴックスに対する警察や金融当局の調査が進められているが、技術革新に歯止めをかけることだけは望ましくない。大切なのは、技術の不備を法律やルールで補うことだ。便利で安全な次世代の電子マネーや電子決済の到来を促すためにも、今回のマウントゴックス騒動に関しては入念な調査と実態の解明が期待される。

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