必然だったビットコイン騒動 原点は20年前に
編集委員 関口和一

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2014/3/6 7:00
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電子マネーや電子決済の取引額や流通量でいえば、ビットコインは他の決済手段を大きく引き離している。相場が高い時期のレートで換算すると、実に日本円で1兆円近いお金がインターネット上を流通していることになる。米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ前議長が昨年、ビットコインに前向きな評価を下し、中国マネーが流れ込んだことなどから一気に市場が拡大した。

■なぜビットコインに人々は群がったか

情報交換のため集まったビットコインの利用者ら(2月27日午後、東京・渋谷)

情報交換のため集まったビットコインの利用者ら(2月27日午後、東京・渋谷)

電子マネーとしてのビットコインの魅力はどこにあったのか。その理由を挙げてみよう。「決済コストが安い(手数料が安い)」「取引スピードが速い」「匿名性が高い」「相場の上昇が期待できる」「スマホで簡単に利用できる」「海外でも使える」「預金の逃避先にも使える」――。主にこの7つだ。

逆にいえば現行の金融機関の決済サービスは、コストが高く手続きも面倒で使いにくいと消費者が評価しているともいえる。ベンチャー企業の経営者など若い人がビットコインに群がったのは、融通の利かない権威主義的な既存の金融サービスに飽き足りなかったからだろう。

一方、言うまでもなくビットコインにはネガティブな側面も多い。今回のマウントゴックスの騒動が物語るように、金融機関のような信頼できる発行体がなく、現金の裏付けもない。匿名性が高いことは利用者にとっては利点だが、金融システムとしてとらえれば、武器や薬物の取引やマネーロンダリング(資金洗浄)に使われやすいなど危うい面がある。それでもビットコインが人気になったのは、かつてパソコンやインターネットがそうだったように新しい技術革新に触れるワクワク感があったからに違いない。

これまでも電子マネーや電子決済手段はワクワク感で迎えられてきたが、そのほとんどは姿を消すか別な決済サービスに取り込まれてしまった。というのも「電子マネーブーム」といえる時期は、これまでに3回あった。第1期はインターネットが広く浸透し始めた1990年代中ごろ。第2期は携帯電話が普及し始めた2000年代初め。そして第3期といえるのが、クラウド技術とともにスマホやタブレットが広がった今である。ビットコインもスマホと高速通信サービスがなければ、今ほど人気にはならなかっただろう。

第1期に注目を浴びたのはオランダの「eキャッシュ(デジキャッシュ)」や米国の「サイバーキャッシュ」、英国の「モンデックス」などだ。いずれも日本に進出し、金融機関や大手IT(情報技術)企業が担ぎ上げたが、失敗に終わった。サイバーキャッシュはネット上での小口決済を狙っていたが、当時の需要はまだ小さかった。クレジットカード会社がネットで小口決済を受け付けるようになると、米国の本社は経営に行き詰まってしまった。モンデックスも日立製作所が力を入れたが、インフラ整備にお金がかかり普及に至らなかった。

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