「電子書籍の権利、現行出版権の拡張で」中川正春氏ら提言
著作隣接権付与から方針転換 経団連の反対に配慮

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2013/4/5 7:00
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その上で今回の提言は、一部で現行の出版権より踏み込んだ内容となっている。例えば現行の出版権では、ハードカバーを発行した出版社が別の出版社に文庫化を許諾するといった出版権の2次許諾を認めていないが、今回の提言にはこれを可能にすることを盛り込んだ。電子書籍を複数の配信事業者に提供したり、紙の書籍を別の出版社で文庫化したりする際、契約の見直しにかかる時間を短縮する狙い。

併せて、出版契約での事前合意を前提として、出版権の及ぶ範囲を書籍・電子書籍の複写利用にも拡張可能とした。地図帳の販売時に企業内でコピーして利用する権利を盛り込んでおいたり、電子書籍を企業のイントラネットに掲載して閲覧可能にしたりするケースを想定している。

こうした出版権の拡張と併せて、国立国会図書館の持つ書誌情報データベースに著作権者や出版権者の情報を連携させることを提言している。書籍・電子書籍を2次利用したい人が権利者情報を参照しやすくすることで「権利者が不明の『孤児著作物』の発生を、少なくとも今後の書籍・電子書籍では防げる」(福井弁護士)ほか、国会図書館が整備を進めている蔵書のデジタルアーカイブ化をさらに進め、「デジタルアーカイブの商用利用に道筋を付けたい」(中山特任教授)という狙いもある。

■文化審議会・議員立法の両方で早期法制化目指す

同勉強会の今回の提言は、前回提言を事実上撤回し、13年2月に経団連が公表した提言にほぼ沿った内容へ転換したものとなっている。中山特任教授も「提言内容は既に経団連にも説明しており、大筋で了承いただいている」としており、今回の提言が電子書籍の権利付与をめぐる今後の議論で基軸となりそうだ。

同勉強会では、文化審議会の議題として電子書籍の権利を取り上げるよう文化庁に働き掛けると同時に、同勉強会でも議員立法を視野に入れ細部を詰める予定。これについて中川議員は「文化審議会が半年くらいで議論をまとめられればよいが、長期化した場合は議員立法できるよう準備しておく」と表明。国内で既に電子書籍ビジネスが急拡大している現状を踏まえ、14年の通常国会での法制化を目指す意向を示した。

(電子報道部 金子寛人)

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