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「羽田空港から新宿まで20分」、3環状道路整備にめど

五輪で変わる東京(4)

 2020年東京五輪の開催が決まり、都市の大改造が加速し始めた。東京は今後どんな姿に変貌するのか――。日経BP社が発行した「東京大改造マップ2020」では、東京23区内で計画されている延べ面積1万平方メートル以上の大規模開発や、道路・鉄道など交通インフラの情報を網羅的に収集。「東京の未来地図」を作成し、注目エリアの今後を予測した。連載「五輪で変わる東京」では、変貌を遂げる東京の姿を、「街」「道路」「住まい」の観点からそれぞれ見ていく。第4回では、首都圏道路交通の骨格であり、2020年までに9割が整備される見通しの「3環状」を中心に、道路インフラの将来像を紹介する。

五輪開催の決定が追い風となって、首都圏の道路交通の骨格となる3環状道路の整備が加速しそうだ。

都心から半径約8kmの首都高速道路の中央環状線と半径約15kmの東京外かく環状道路(外環道)、半径約40~60kmの首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の3環状は、1964年に「3環状9放射」の道路ネットワークとして計画された。

東名高速道路や中央自動車道など放射方向の高速道路が早々と完成したのに比べ、環状方向の道路は整備が遅れている。海外主要都市の環状道路は、整備率でロンドンが100%、パリが85%。これに対し、東京の3環状は2012年度末時点で59%にとどまっている。

まず14年度に中央環状線が全通

3環状で最初に完成するのは2014年度に全通予定の中央環状線。東京都と首都高速道路会社が共同で事業を進める品川線の延長9.4kmが2014年度末に開通し、約47kmの環状道路がつながる見込みだ。

品川線は、首都高の3号渋谷線・大橋ジャンクション(JCT)と湾岸線・大井JCTを地下トンネルで結ぶ。トンネル部分の延長は約8.4kmで、接続する新宿線の山手トンネルを合わせると約18km。開通すれば、関越自動車道の関越トンネル(約11km)を超えて、日本最長の道路トンネルが誕生する。

他方、外環道は、15年度[注]に東側の三郷南JCT―高谷JCT間の15.6kmが開通することで、大泉JCT─高谷JCT間がつながる。圏央道も、15年度までに大部分の区間が開通する見込みだ。

3環状で、国土交通省が2013年秋の時点で開通予定時期を公表していないのは、外環道の東名高速以南を除くと2区間だけになる。外環道の大泉JCT―東名JCT間の16.2kmと、圏央道の大栄JCT―松尾横芝インターチェンジ(IC)間の18.5kmだ。

同省関東地方整備局道路部計画調整課の五十嵐一夫課長補佐は、「現時点でいつ完成するのかは明示できない。五輪開催が決まったので、それまでに間に合うのか、検討が必要だ」と説明する。

東京都が国際オリンピック委員会(IOC)に提出した立候補ファイルでは、2020年の五輪開催までに3環状の整備率を9割に引き上げるとしている。これら2区間の開通に対する期待が背景にある。五輪開催に向けた社会の気運などの後押しがあれば、間に合う可能性もある。

大泉―東名間は2014年度初頭に発注

外環道の大泉JCT―東名JCT間をめぐる動きも活発になってきた。国交省関東地方整備局と東日本高速道路会社、中日本高速道路会社が共同で事業を進め、北行きと南行きの大断面シールドトンネル2本を、40m以深の大深度地下に延長16.2kmにわたって構築する。3者は2013年11月8日、大深度地下特別措置法の利用を国交相に申請した。

トンネル本体工事は、南行きを東日本高速道路会社、北行きを中日本高速道路会社が建設。2本のトンネルを大泉JCT側から約7km、東名JCT側から約9kmの地点で分割し、両側から掘り進めて連結する。合わせて4工事を両社がそれぞれ2014年度の第1四半期に発注する予定だ(注:東日本高速道路会社と中日本高速道路会社は2013年11月29日、この4工事について入札を公告した)。

シールド機の発進たて坑の工事は、既に先行して準備が進んでいる。2012年9月に中日本高速道路会社が東名JCT側の工事を発注し、清水建設・熊谷組JVが約71億円で受注した。2013年度の第4四半期には、東日本高速道路会社が大泉JCT側の工事を発注する予定だ。

[注]2013年12月19日、東京外かく環状道路の千葉区間(三郷南JCT―高谷JCT間)の開通時期を2015年度から17年度に変えると発表がありました。今回は、記事作成時の情報である「15年度」を記載(本文と地図)しました。

中央環状線で羽田線を迂回できる

3環状がある程度完成すれば、既存道路を含めた首都圏の道路交通網の利便性や安全性が高まる。

中央環状線が全線開通すると、都心部を通過する車両に迂回路ができて、より内側の都心環状線の慢性的な渋滞が緩和される。首都高速道路会社の試算では、新宿から羽田空港まで移動する場合、現在は都心環状線経由で40分かかるが、中央環状線経由だと20分に短縮される。

老朽化が進む首都高の更新も現実味を帯びてくる。首都高速道路会社が2013年1月に発表した大規模更新の必要な区間延長は16~20kmに及ぶが、大部分の路線は更新中の代替ルートが無いのが現状だ。

中央環状線の完成で、首都高1号羽田線は全線を迂回できる可能性が高まる。少なくとも同線では、五輪までの更新があり得るとの見方が強い。さらに外環道の東名以南を除く3環状の大部分が完成すれば、ほかの路線でも、迂回できるようになる。

もちろん、同社が7900億~9100億円と試算した更新・修繕費をどう捻出するのかという問題は残る。同社や国交省などは、既存路線の掘割区間を人工地盤で覆い、その上の土地の容積率を「空中権」として民間企業に売る手法などを検討しているが、料金の値上げや償還期間の延長などを含めて、現時点で具体的な解決策を見出せていない(注:首都高速道路会社は2013年12月25日、約6300億円を投じる首都高の更新計画を発表)。

環状2号線は2015年度に開通

一般道では、五輪開催時に五輪スタジアムと選手村を結ぶ大動脈となる環状2号線が、2015年度に虎ノ門地区から豊洲地区までの区間で開通する予定。いわゆる「マッカーサー道路」と呼ばれる路線だ。

ただし、2015年度に「完全開通」するかは不透明だ。築地市場の跡地を利用する区間で、市場の移転が遅れると間に合わなくなる。「その場合は仮設道路で事業区間を開通させる」(東京都建設局道路建設部街路課)。

五輪を契機として臨海部の開発が進むと、都心との間の交通量が増大する。環状2号線が開通すれば、平行する晴海通りの渋滞が緩和し、臨海部へのアクセスが向上する。

選手村から臨海部の競技場に向かう道路も整備される。首都高晴海線が、2015年度に晴海出入り口までの区間で全通する。都心環状線を利用する交通を湾岸線に分散する効果が期待できそうだ。

(日経コンストラクション 森下慎一)

[日経BPムック『東京大改造マップ2020』の記事を基に再構成]

[参考]日経BP社は2014年2月3日、「東京大改造マップ2020」を発行した。東京五輪決定で活気付く都市改造の最新動向を、日経アーキテクチュア、日経コンストラクション、日経不動産マーケット情報、日経ビジネスの各雑誌の記者が取材。建設・建築にとどまらない"東京改造"の影響を、詳細な地図を交えて分かりやすく解説。東京で暮らす都市生活者、東京で働くビジネスパーソンはもちろん、「ビル」や「鉄道」、「地図」や「街歩き」に興味を持つ人も楽しめる。

東京大改造マップ2020 (日経BPムック)

編集:日経アーキテクチュア
出版:日経BP社
価格:1,050円(税込み)

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