2019年1月18日(金)

マラリア蚊をレーザー退治、企業にできない発明のコツ
ネイサン・ミアボルド  米インテレクチュアル・ベンチャーズ CEO兼共同設立者

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2014/7/17 7:00
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 技術のボーダーレス化が進む中、これまでとは異なる分野の事業者が他分野の技術を活用することで、急成長する事例が増えている。日本企業は今、「外」に活路を求め、多様な人たちと議論し、従来の殻を打ち破る必要に迫られている。新規事業や異業種連携を加速させる取り組みをはじめ、技術の波及がもたらす新ビジネスの可能性などを紹介していく、特集「リアル開発会議」。連載第6回は、元米マイクロソフトのCTO(最高技術責任者)で、発明を取り引きする資本市場の創出に挑んでいる米インテレクチュアル・ベンチャーズ CEO(最高経営責任者)のネイサン・ミアボルド氏に、「技術調達の流儀」について語ってもらう。

もし、あなたが発明家であるならば、アイデアを世の中が受け入れるまでの長い間、我慢しなければならないだろう。アイデアの内容が先鋭的であればあるほど、我慢の期間は長くなる。

ネイサン・ミアボルド 1959年生まれ。米カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)で地球物理学と宇宙物理学の修士号と数学の学士号を取得後、米プリンストン大学で数理物理学の博士号と数理経済学の修士号を取得。ケンブリッジ大学の研究員として、量子重力の世界的研究者スティーブン・ホーキング教授とともに働く。その後、米ダイナミカル・システムズを創立し、1986年に米マイクロソフトに買収される。マイクロソフトではマイクロソフト リサーチを創設するなど、CTOとして研究開発を統括した。2000年にインテレクチュアル・ベンチャーズ設立。自身が資金を提供しているロッキーズ博物館で古生物学のアフィリエイト研究員を務める。料理に関する造詣も深い

ネイサン・ミアボルド 1959年生まれ。米カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)で地球物理学と宇宙物理学の修士号と数学の学士号を取得後、米プリンストン大学で数理物理学の博士号と数理経済学の修士号を取得。ケンブリッジ大学の研究員として、量子重力の世界的研究者スティーブン・ホーキング教授とともに働く。その後、米ダイナミカル・システムズを創立し、1986年に米マイクロソフトに買収される。マイクロソフトではマイクロソフト リサーチを創設するなど、CTOとして研究開発を統括した。2000年にインテレクチュアル・ベンチャーズ設立。自身が資金を提供しているロッキーズ博物館で古生物学のアフィリエイト研究員を務める。料理に関する造詣も深い

例えば、私は1991年にマイクロソフトの内部レポートのメモ書きとして、現在のスマートフォン(スマホ)とほぼ同じアイデアをイラストで描いたことがある。発明と言えるほどのものではなかったが、スマホの登場を予見する内容だった。

このイラストを見た人はしばらく、「ネイサンは間違っている」と考えていたに違いない。しかし、十数年が経過し、実際にスマホが姿を現すとその評価は変化してくる。「何てことだ。ネイサンは才能にあふれた人物だ」と。

優れた発明、優れたアイデアとは、得てしてそういうものだ。発明には、高いリスクが伴う。それは、投資家の関心を引くことが難しいからだ。ほとんどの発明は実用化に至ることなく消えていく。実用化しても、コストが高過ぎたり、さらに素晴らしい発明の後じんを拝したりする可能性は高い。あるレポートによれば、発明家に利益をもたらす特許は全体のわずか1~3%に過ぎないという。

■運用資産は60億米ドル以上

確かに、単体の発明はリスクが高い。しかし、広範な技術分野について数万件の水準で発明を集めれば、全体のリスクを管理できるようになる。ポートフォリオを多様化し、リスクヘッジしやすくなるからだ。

数千件の特許から成るポートフォリオのうち、たった1件でも大成功すれば、10億米ドル規模の利益を生む可能性がある。これが、私がインテレクチュアル・ベンチャーズ(IV)を創業した狙いだ。発明を取り引きする資本市場をつくり出すことにIVは取り組んでいる。

会社の形態は、外部の投資家による出資を運用するファンドである。一般的なベンチャーキャピタルは事業に投資し、事業による利益や株式売却益を投資家に還元する。これに対し、IVは技術(発明、特許)そのものを投資対象にしている。技術に資金を提供し、技術を利用したい企業などに供与する。その対価を投資家に還元するのだ。投資家のために短期的な研究開発プロジェクトと中長期的なプロジェクトを混在させた発明のポートフォリオを用意している。

運用資産は60億米ドル(約6180億円)以上で、これまでに30億米ドル(約3090億円)以上のライセンス収入を得ている。多くの発明が生まれてくるように応用研究を収益性の高い活動に変え、民間投資をこれまで以上に増やすことが目標だ。この取り組みは多くのイノベーションを生み出す原動力になるはずである。

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