2019年8月21日(水)

1位は渡辺麻友か AKB総選挙をデータで予測

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2014/6/5 7:00
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だが、この予測モデルの「R2乗値」は0.823と、やや精度に欠ける。1位予測の渡辺麻友と速報トップの指原との差は、1万2000票超。2013年、大島優子でも指原との1万4000票差が詰まらなかったことからすると、逆転のハードルは相当に高い。

また、小嶋陽菜の3位、松村香織がSKEでトップというあたり、ファンなら違和感があろう。小嶋は資生堂「TSUBAKI」、ピーチ・ジョン、第一三共ヘルスケア「トラフル」など単独でCMに出ていることで数字が跳ね上がった。松村については2ちゃんねるの地下アイドル板に立つ応援スレッドに熱烈なファンが集って「選対本部」と化していることが数字に影響していそうだ。

調査を担当したルグラン代表取締役の泉浩人氏は、「2年前に予測した時と比べて、得票数をクチコミ量やテレビ出演量だけで説明することが難しくなっている」と説明する。その理由として泉社長が挙げるのが、「データの首都圏偏重」だ。

「ソーシャルメディアや掲示板などの書き込み件数は人口バランスからみても首都圏からの投稿が多く、またエム・データのテレビ情報も関東キー局の出演情報を使っている。(SKE、NMB、HKTの)"支店"メンバーの活躍を補足しきれず、過小評価につながっているかもしれない」(泉社長)。

これまでは、AKB48の運営側が期待の若手として選抜に抜擢したメンバーが比較的素直に受け入れられて人気になってクチコミが増え、それが得票に結びついていた。だが昨年あたりから、「運営はなぜ彼女を推さないのだ」といったファンの鬱積、運営への反発が、あまり陽の当たらなかったメンバーへの投票という形で現れだし、ネット上の投稿やテレビ露出との相関が薄くなっている。SKEの次世代エース格だった木崎ゆりあがAKBに異動し、AKB出身の宮沢佐江が上海(SHN)と兼任でSKEのチームリーダーに就くといった人事面で不満を抱えるファンが多いSKEで、特にそうした傾向が顕著だ。

■アンチファンが多いほど得票数が伸びる傾向も

なお、30以上の予測モデルの中で「次点」だった以下の計算式が実に興味深い。

得票数≒1万5221+45.19×ブログネガティブ+6.04×Twitter投稿件数

メンバー個々人について書かれたブログが好意的な内容か、否定的な内容か、あるいは中立か、いわゆる「ポジネガ判定」をして、ネガティブと判定されたブログ投稿が多いメンバーほど得票が伸びることを意味する計算式である。2013年の指原1位という総選挙結果を数式化すると、カギを握る因子がネガティブブログ件数だったというのは驚きだが納得感もある。

「好きなタレント・嫌いなタレント」をアンケート調査する雑誌などの企画で、好きなタレント上位のメンバーは、嫌いなタレントでも名前が挙がる傾向がある。「一定のアンチ層がいることは人気の証拠。忘れ去られた人にはアンチもいない」という現象を数字で示したと言えるだろう。芸能稼業においてまさに「アンチは養分」である。

この「次点」の予測モデルに基づくランキングをルグランは公表していないが、おそらく2014年も指原は優位に立っているだろう。ただしこの計算式では、2014年3月に「週刊文春」でスキャンダルを報じられ、速報25位と出遅れている渡辺美優紀が大躍進している可能性もある。確度の高い予測式を導き出すのはやはり難しい。

例えばプロスポーツチームにおける選手の名前入りグッズの販売、たくさんのキャクターが登場するアニメ作品におけるグッズの販売といった業務の従事者は、各商品の仕入れ量を決めるにあたって同様の悩みに直面するだろう。入手可能なデータで大まかな傾向を把握しつつ、そのデータは何を補足できていないか、売り上げに関係するほかの因子はないかを常に考え、ヒアリング調査などから修正していく姿勢が必要になる。

(日経デジタルマーケティング 小林直樹)

(日経デジタルマーケティング 2014年6月4日の記事を基に再構成)

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