2019年3月20日(水)

放射性廃棄物の処分場選び、地域の判断を尊重 NUMOの山路理事長に聞く
編集委員 滝 順一

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2013/2/6 7:00
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原子力は「トイレなきマンション」とよく言われる。国の計画では、使用済み核燃料を再処理した後に残る、非常に強い放射能を帯びた廃棄物(高レベル放射性廃棄物)は地下の安定した地層に埋めることになっているが、具体的な処分地は決まっていない。過去には名乗りを上げる自治体があったが、反対運動などがあり調査に入れずじまいだ。東京電力・福島第1原子力発電所事故を経て、状況は一段と厳しさを増している。処分事業を担う原子力発電環境整備機構(NUMO)の山路亨理事長に現状を聞いた。

山路亨・原子力発電環境整備機構(NUMO)理事長

山路亨・原子力発電環境整備機構(NUMO)理事長

――処分地の選定は3つの段階があり、まず関心のある自治体に手を挙げてもらって、その地域の火山噴火や地震の記録など歴史的文献を調べる「文献調査」が第1段階ですが、公募開始後10年で調査に入れた場所はひとつもありません。

「2002年に公募を開始したが、07年に高知県東洋町から初めて応募の意向が伝えられて以降はない。関心を持っていただいている地域はあるので、引き続き情報提供や情報交換を通じて事業への理解を深めていただいている。最終処分の必要性と安全性をいかに理解していただくかが大事だと思っている。11年に外部有識者から助言をいただく会議を設けたり各地でワークショップを開くなど、多様な人々から意見を聴き何が心配かなど直接は話す場をしっかりつくるよう努力をしている」

「また技術面では、NUMOが00年に誕生して以降の技術の進展を踏まえ10年に地層処分事業の安全性・信頼性を支える技術開発状況をまとめてリポートにした。現在は東日本大震災を踏まえて、安全確保について多くの人々の心配に応えられる新たなリポートを近々とりまとめるつもりだ」

――大震災以降、日本列島の地殻変動に関する科学的な知見が変わってきたとされますが、そうした新しい状況下で人々の懸念に応えられるものになるのですか。

「最終処分場の立地は活断層があったらそこは避けましょうということで、文献調査、概要調査、精密調査の3段階になっている。今回のリポートは東日本大震災後の新知見を踏まえて、第2次とりまとめ(10年報告)の再確認をすることになる」

――自治体の応募を待っていてはなかなか候補地は出てきませんが、かといってNUMOの側で候補地を選んで調査に入るのも難しいですね。

「地域の自主的な判断を尊重しないと、この事業は前へ進まない。国には地域の意向を尊重しつつ候補地の申し入れができる仕組みがある。NUMOの公募方式と合わせて、2つのやり方を活用していく。国との連携を強めて時間がかかっても粘り強く取り組んでいく覚悟だ」

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