「4K」は3Dの二の舞か、テレビ期待の星の価値と壁

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2013/4/11 7:00
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■サービス提供のハードルは高い

CATVや衛星放送では、外付けの「セットトップ・ボックス(STB)」という装置で新技術を導入しやすい利点もある。もちろん、表示装置に用いる4Kテレビへの買い替えを促す必要がある点は、地上放送と同じだ。

ただ、まだ始まっていない4K放送に対応していない既存の4Kテレビ(4K解像度を持つパネルを採用)でも、外付けの装置を追加することで4K放送の映像を表示できるようになる。今後安価になっていくであろう4Kテレビと外付け装置の組み合わせであれば、4K映像の視聴環境を整えやすい。

もちろん、家庭向けに4K映像を届けるには、受信装置の開発・製造に加え、4K映像対応の業務用放送機器を導入する先行投資がかさむ。このため、サービス事業者が超高精細映像のサービス提供に踏み切るハードルは高い。しかも、「HDが単に高精細になっただけでは、うまくいかない」という声は少なくない。よく引き合いに出される技術は、3次元(3D)映像だ。

多くのメーカーが3Dテレビを鳴り物入りで製品化したものの、専用メガネをかける煩わしさや、3D対応の映像コンテンツがあまり登場しなかったことなどを背景に、今のところ取り組みが成功したとは言えない。映画館での3D上映は増えたものの、家庭向けの映像サービスでは3D映像に注力する取り組みは拡大していない。4K映像も同じ轍(てつ)を踏むのではないかというわけである。

■4Kテレビの本質は映像のみにあらず

ただ、4K映像の視聴環境には、3D映像とは異なる2つのユーザー体験があると指摘する声もある。

一つは、4K映像を表示する大画面テレビが実際に登場したことで初めて分かってきた映像の見え方の変化だ。数年前まで4K映像は100型を超えるような大画面でこそ威力を発揮するといわれていた。それよりも小さな画面では、臨場感や迫力を表現しにくいと思われてきたからだ。

この1~2年ほどで50~60型の4Kテレビの製品化が相次ぎ、実際に4Kテレビで表示した4K映像を視聴する体験をした業界関係者が増えた。これが、この"常識"を変えつつある。

家庭に置くのに無理のない画面サイズでも「精細度の高さによる立体感」や、「写真を見ているような実物感」を感じられるとの感想が出ているのだ(図4)。従来の常識とは異なる体験であるため、テレビや映像関連の技術者の間では「この見え方の変化は、科学的な検証が必要」という意見も上がっている。

図4 左は、米University of Southern California(USC)の研究チームが電子顕微鏡を用いて撮影した海洋微生物の4K映像。高精細化によって、「海洋生物学者でも見たことがない映像を撮影・表示できるようになった」という。同チームは、自然を扱うドキュメンタリー番組などで有効とみている。研究用の専用通信ネットワークを用いてUSCで撮影した4K映像をリアルタイムに東京に伝送した。2011年10月に開催された東京国際映画祭でのデモ。右は、ソニーが2012年10月の家電展示会「CEATEC」で見せた、4Kテレビに新聞の紙面を表示するデモ。4K解像度では、小さな文字もつぶれない状態で表示できる

図4 左は、米University of Southern California(USC)の研究チームが電子顕微鏡を用いて撮影した海洋微生物の4K映像。高精細化によって、「海洋生物学者でも見たことがない映像を撮影・表示できるようになった」という。同チームは、自然を扱うドキュメンタリー番組などで有効とみている。研究用の専用通信ネットワークを用いてUSCで撮影した4K映像をリアルタイムに東京に伝送した。2011年10月に開催された東京国際映画祭でのデモ。右は、ソニーが2012年10月の家電展示会「CEATEC」で見せた、4Kテレビに新聞の紙面を表示するデモ。4K解像度では、小さな文字もつぶれない状態で表示できる

3D映像と異なるもう一つのユーザー体験は、4K解像度では視聴者に提供できる画面上のワークスペース(作業領域)が拡大することである。文字情報やGUI(グラフィカル・ユーザー・インタフェース)を表示した際の精細感が向上すると同時に、現行のHD映像を画面上に配置する自由度が高まる。これが、いわゆる「スマートテレビ」のような新しいサービスで付加価値を生むというわけだ。

■「きれい」だけでは売りにならない

4K映像で確実に言えるのは、これまでの常道だったスポーツイベントに期待する技術開発だけでは、薄型テレビの価格下落や、若年層を中心にした視聴者のテレビ離れに歯止めをかける強力な武器にはなりにくいということだろう。うわさが先行するAppleのテレビも、4Kだけが売りではないとの論調が多いようだ。

4K映像とその解像度によるユーザー体験を生かす新発想の映像サービスを創出する。この一歩先を行く取り組みが、映像サービス事業者や家電メーカーに求められている。

(Tech-On! 高橋史忠)

[Tech-On!2013年4月2日の記事を基に再構成]

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