「4K」は3Dの二の舞か、テレビ期待の星の価値と壁

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2013/4/11 7:00
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■キーワードは「ブラジル」

日本国内だけではなく、海外でも取り組みが本格化している。ソニーは2013年1月、同年夏に米国で4K映像の配信サービスを始めることを明らかにした。韓国では、同国の公共放送局KBSやLG Electronics(LG電子)が4K映像を地上デジタル放送で流す実験に着手している(図3)。韓国Samsung Electronics(サムスン電子)や、米国のビデオ・オンデマンド(VOD)大手のNetflix(ネットフリックス)なども4K映像の配信実験を進めている段階だ。

図3 左は、SamsungがNetflixと共同で進めている4K映像の配信実験のデモ。右は、LGがKBSと共同で手掛ける4K映像による地上デジタル放送実験のデモ。いずれも「2013  International  CES」に出展した

図3 左は、SamsungがNetflixと共同で進めている4K映像の配信実験のデモ。右は、LGがKBSと共同で手掛ける4K映像による地上デジタル放送実験のデモ。いずれも「2013 International CES」に出展した

テレビに加えて、スマートフォンやタブレット端末といった携帯端末でも4K映像の再生機能を付加する動きがある。

映像サービス事業者や家電メーカーが期待を寄せる大きなキーワードの一つは「ブラジル」である。2014年6~7月に開催されるサッカーのワールドカップ(W杯)ブラジル大会、2016年8月のリオデジャネイロ五輪を目指して、次世代の超高精細映像サービスを商用化する。特に日本では、これを掛け声にしたサービス導入計画の検討が進んでいる。

■高精細化で映像サービスの付加価値向上目指す

総務省は、2012年11月に有識者や関連企業の関係者で構成する「放送サービスの高度化に関する検討会」を立ち上げた。この検討会で設けた超高精細映像に関する分科会で配布した資料では、サービスを立ち上げるために人的・資金的なリソースを集約した「オールジャパン」の推進体制が必要とうたっている。

既に4K映像を表示する機能を備えた大画面テレビやプロジェクターでは、テレビメーカー各社の製品投入が本格化し始めた。撮影用の4Kカメラも、多くのカメラメーカーによる製品化や開発が進みつつある。映画業界では、4K映像で撮影し、上映する取り組みが広がっている。

撮影装置や表示装置に加えて、放送や通信で4K映像を家庭に届けるインフラが整えば、ブラジルで開催される2つのスポーツイベントや、東京都が立候補している2020年の五輪などを多くの視聴者が超高精細映像で楽しむ環境は現実味を増す。

高精細化による新しいサービスで、映像関連サービスの付加価値を高め、サービスの加入や薄型テレビの需要喚起につなげたいというわけだ。

4K映像関連でCATVや衛星放送、通信関連の事業者による取り組みが活発な背景には、地上デジタル放送に比べて超高精細映像の新サービスを追加しやすいことがある。

■CATVや衛星放送なら対応できる

超高精細な4K映像や8K映像は、現行放送で用いているHD映像に比べてデータ容量が大きい。これを地上デジタル放送で届けるための帯域を確保するには、現在の枠組みを大きく変更しなければならないとの見方が強い。これに対してCATVや衛星放送では、通信網の効率的な利用や、新しい衛星の活用など新技術で放送帯域を確保しやすい条件がそろっている。

例えば、スカパーJSATでは現在、動画圧縮技術「MPEG-2」で符号化(データ圧縮)している映像サービスを、2014年5月をめどに次の世代の圧縮技術「H.264/MPEG-4 AVC」に移行する計画だ。より圧縮効率の高い動画圧縮技術の採用で衛星放送の伝送帯域には余裕が出る。これを4K放送などに利用できるとみている。

NHKとNNSによる伝送実験では、分割した8K映像をCATVの複数の空きチャネルを用いて伝送し、受信機側で合成する技術を採用した。この技術を使えば、現行のCATV施設の構成を大きく変更することなく8K映像を伝送できるという。

2013年1月には、H.264の次を担う動画圧縮の国際標準方式「H.265(HEVC)」の技術も固まった。H.264の2倍の圧縮率を実現したこの技術を用いれば、現在の実験成果による伝送効率の向上をさらに前進できることは間違いなさそうだ。

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