マウス発明したダグラス・エンゲルバート氏が死去
マウスの発明で知られる米国の発明家、Douglas Engelbart(ダグラス・エンゲルバート)氏が現地時間2013年7月2日に逝去した。享年88歳。非営利研究機関の米SRI Internationalが7月3日に発表した。

Engelbart氏は、パーソナルコンピューティングとインターネットの初期に大きく貢献した人物。SRI Internationalは「Engelbart氏のビジョンはコンピューターを使う上での重要な問題を解決し、コミュニケーションとコラボレーションを向上することだった」と述べている。
Engelbart氏は1957年にSRI International(当時の米スタンフォード研究所)に入所し、同機関内に設立したAugmentation Research Center(ARC)を1959年から1977年まで指揮した。1968年に米カリフォルニア州サンフランシスコで開催されたコンピューター会議で、マウス、ハイパーテキストリンク、リアルタイムのテキスト編集、マルチウインドウなどの発明を組み合わせたデモンストレーションを実施。これは「Mother of All Demos(すべてのデモの母)」と呼ばれている。またARCは1969年に、現在のインターネットの前進であるARPANETの2番目のノードとして接続された。
Engelbart氏の功績に対しては、優秀な発明をたたえる「レメルソンMIT賞」(1997年)、コンピューターサイエンスのノーベル賞と言われる「チューリング賞」(1997年)、米国にとって革新的かつ重要な技術開発への貢献を評価する「米国家技術賞」(2000年)などが贈られている。
米New York Timesの報道によると、同氏が息を引き取ったのはカリフォルニア州アサートンの自宅で、妻のKaren O'Leary Engelbartさんによれば腎臓病が原因だという。
[ITpro 2013年7月4日掲載]