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九段破れたり AIとプロ棋士のタッグ戦、思わぬ番狂わせ
ジャーナリスト 新 清士

(1/4ページ)
2013/9/6 7:00
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 プロ棋士と将棋の人工知能プログラム(将棋AI)がペアを組んで争う「電王戦タッグマッチ」が8月31日、東京・六本木のライブハウス「ニコファーレ」で開かれた。人間とAIの連携というユニークな試みが予想外のドラマを生み、決勝戦では会場が大きくどよめいた。将棋AIはいまや最強のプロ棋士さえ倒すほどの水準に進化している。今回のイベントを通して、コンピューターが人間に勝つという単純な未来図ではなく、人間とコンピューターの協調により、高度で深みのある「新しい将棋」が生まれる可能性がみえてきた。

■推奨する次の手をプロ棋士に提示

電王戦タッグマッチの会場の様子
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電王戦タッグマッチの会場の様子

 決勝戦を争ったのは佐藤慎一四段と将棋AI「ポナンザ」、三浦弘之九段と将棋AI「GPSShogi」の両ペアだった。それぞれのプログラムの開発者がプロ棋士の横に座り、局面ごとに将棋AIを操作して推奨する次の手をパートナーのプロ棋士に提示する。プロ棋士はAIが薦める手をヒントにしたり、採用したりして、戦いを有利にしようと知恵を絞る。

 佐藤四段が組んだポナンザはアプリ開発のヒーローズ(東京・港)の山本一成氏が開発した。今年3月に開催された人間対将棋AIの「第2回電王戦」では佐藤四段に勝っている。電王戦は5対5の団体戦。将棋AIが3勝したため「コンピューターが人間を破った」と話題になった。今回はその対戦相手同士がペアを組み、他の棋士と争った。

 将棋AIは過去の様々な対局の記録である棋譜の大規模データベースを持つ。その中から、対局中の局面に似たような棋譜を探し、次にどんな手を打つと最も有利になるかを評価。「評価関数」と呼ばれる得点として算出し、次の一手を決める。

佐藤慎一四段(右)とポナンザを操る山本一成氏
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佐藤慎一四段(右)とポナンザを操る山本一成氏

 将棋は相手の駒を取り、それを今度は自分の駒として盤上の好きなところに打つことができるなど、同じようなゲームであるチェスに比べてルールはかなり複雑だ。チェスの世界チャンピオンは1997年にAIと対戦して敗れたが、将棋AIは2000年代初頭でもプロ棋士に全くかなわなかった。

■次の一手へ5000万の手数を計算

 ところが、その後コンピューターの性能が飛躍的に向上。棋譜のデータベースを大量に持つことが可能になり、次の一手としてありとあらゆる展開を計算できるようになった。

 チェスの場合、6万手前後を計算すれば人間に勝てたが、将棋ではプロ棋士にかなわない。将棋AIは現在、次の一手を探すために5000万の手数を計算できるなど、シミュレーション能力は飛躍的に向上。より精緻な評価関数を処理でき、数年前より格段に強くなっている。

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