データジャーナリズムの新風、報道をどう変える
ブロガー 藤代 裕之

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2013/11/7 7:00
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ソーシャルメディアの書き込み解析や世論調査などを分析した選挙予測など「データジャーナリズム」と呼ばれる報道手法が広がりつつある。ソーシャルメディアの不特定多数による情報だけでなく、政府や企業が開示するオープンデータなどの情報も含めて活用し、新たな切り口のニュースを生み出す。世の中で流通する情報量が爆発的に増えているなか、データを処理するパソコンの性能向上、表現ツールの普及なども加わり、動きが加速している。記者や編集者以外の人々や企業が関わる新たな報道のあり方として、データジャーナリズムはどのようにニュースを革新してくのだろうか。

■データの分析と表現に新しさ

「データ分析」と「表現手法」。データジャーナリズムでまず注目されるのはこの2つの側面だ。

データ分析に関しては、2008年の米大統領選でニューヨーク・タイムズが50州中49州で勝敗を的中させた報道が挙げられる。政治ブロガーで統計の専門家ネイト・シルバー氏が、さまざまなデータを分析した。10年に、各国の新聞やテレビが内部告発サイト「ウィキリークス」の情報を分析して報道したニュースも好例だ。ウィキリークスはイラクやアフガニスタンでの戦争に関する米軍の機密書類や外交機密文書など100万件超の資料を公開した。

データジャーナリズム賞2013を受賞した「 超初心者のためのアート市場」。データを分かりやすく表示した

データジャーナリズム賞2013を受賞した「 超初心者のためのアート市場」。データを分かりやすく表示した

表現手法では、見せ方や双方向性に工夫がある。フランスのパリに拠点を置く非営利団体、グローバル・エディターズ・ネットワークが主催するデータジャーナリズム賞2013の受賞作から紹介してみよう。

ビジュアル面では芸術作品の蒐集家や投資家向けに、アート市場のオークション価格や作品説明をインフォグラフィックスで見せた「Art Market for Dummies(超初心者のためのアート市場)」がよい事例だ。読者が記事を読むだけでなく、質問に答える形式の双方向性を持ったサイトもある。英BBCによる「Great British Class Calculator(英国階級電卓)」はその一例で、ウェブ上でいくつかの質問に答えると、自分の階級が提示されるようになっている。

昨年の第1回データジャーナリズム賞には51カ国から計286作品の応募があった。今回は、ヨーロッパや北米だけでなく、南米やアジア、アフリカから300作品以上が集まった。取り組みは世界中に広がっている。この背景には、(1)利用できるデータの増大、(2)パソコンの性能向上、(3)分析・表現ツールの普及、がある。

特に大きいのは、報道に使えるデータの種類や量が増えたことだ。ツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディアの普及で書き込みは増加した。政府や企業の情報開示の進展でオープンデータと呼ばれるデータも飛躍的に増えた。

また、スーパーコンピューターなどを使わなくても、ある程度の量のデータを処理できるソフトや描画がパソコンで利用できるようになったことも大きい。

グーグルは10月、ジャーナリスト向けのツールを集めたサイト「Google Media Tools」を公開した。検索動向の変化が分かるトレンドや地図に書き込めるマップ用のツールもまとめられている。

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