2019年6月27日(木)

高等植物の3~40倍の「収穫」が可能 最強のバイオ燃料、藻(1)

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2010/6/15付
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高等植物でBDF(バイオディーゼル燃料)を作ろうとすればダイズが17GJ、ナタネが46GJ、アブラヤシが230GJだから、藻はそれらの3~40倍になる。バイオエタノールの原料ではトウモロコシが64GJ、サトウキビが141GJだから、藻にすれば5~10倍になる。

なお、同じ面積に太陽電池を置くと、1年に4800GJを"収穫"できる。これを根拠に「バイオ燃料などやめて太陽電池を並べ、電気自動車(EV)を走らせよう」という議論がある。だが、太陽電池の初期投資が大きいこと、今のところEVに搭載する2次電池が高価なことなどの経済的な問題を抱えており、しばらくはエンジン車が主流であることを考慮して、総合的に判断する必要があるだろう。

とは言っても、収穫量の数字で圧倒的に負けていれば、"総合的に判断"してもらう土俵に立つこともできない。バイオ燃料が太陽電池と競おうとすれば、高等植物でなく、藻で競わなくては、勝ち目はないのである。

図3 シュードコリシスチスの顕微鏡写真  (a)5μm程度の微生物だ。(b)染色すると、油が黄色く見える。

図3 シュードコリシスチスの顕微鏡写真  (a)5μm程度の微生物だ。(b)染色すると、油が黄色く見える。

多くのエネルギが得られる理由は、生物としての効率の高さだ。シュードは細胞の大きさが5μm。小型で単細胞、幹も枝も根もない藻だ(図3)。一方、ボトリオはコロニー(同種の細胞が集まった塊)を作り、その大きさにして30~500μmの藻である(図4)。水に浮いているため、自分の体を支える構造物を作る必要がなく、そこにエネルギを使わない。ひたすら光合成をし、成長し、子孫を繁栄させるために単純に生きている。

図4 ボトリオコッカスの顕微鏡写真  筑波大学が収集した。

図4 ボトリオコッカスの顕微鏡写真  筑波大学が収集した。

土地だけでなく、水も無駄には使わない。ただでさえ農業用の水が枯渇すると言われている現在、バイオ燃料の生産量が増えれば水の需給は厳しくなる。高等植物は水を各細胞に供給するポンプとして、気孔からの蒸散を使っている。光合成に必要な量を大幅に上回る量を蒸散させ、水がなくなったことによる"負圧"で根から水を吸い上げている。水中の単細胞植物である藻ならば、水は細胞膜から拡散で入ってくるので、こうした仕組みは要らない。光合成に必要な量の水しか使わない。 (次回に続く)

(日経Automotive Technology 浜田基彦)

[日経Automotive Technology 2010年5月号の記事を基に再構成]

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