高等植物の3~40倍の「収穫」が可能 最強のバイオ燃料、藻(1)

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2010/6/15付
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 化石資源に頼らない燃料として、バイオ燃料が定着してきた。しかし、高等植物を使う今のやり方では限界がある。面積当たりの収穫量が少なく、水も無駄に使うからだ。その解決策として、藻(も)を使うバイオ燃料の開発が始まった。面積当たりの収量が現在の3~40倍と大きく、水もあまり使わない。ただし実用化するには、原価低減の工夫が必要だ。本連載では3回にわたり、なぜ藻が最強のバイオ燃料になり得るのか、技術開発の最前線を追う。

経済産業省は2010年3月5日、バイオ燃料でも「LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)で計算したCO2削減量が50%以上ないとカーボンニュートラルとは認めない」という方針を打ち出した。これは厳しい基準で、ブラジルの既存の農地で作るサトウキビ、国内の甜菜(てんさい)、建築廃材から作った燃料しかカーボンニュートラルとは認められなくなる。今のところ経済合理性だけでは成立せず、助成や補助に頼っているバイオ燃料にとって、カーボンニュートラルと認められるかどうかは採算性を左右する。森林を切り開いて燃料用植物を栽培するというビジネスが成立しなくなってきた。

図1 デンソーの培養装置  大量に並び、各種の藻を培養している。

図1 デンソーの培養装置  大量に並び、各種の藻を培養している。

こうした問題を藻が解決する。藻を栽培して燃料を作るという技術が、生物学の段階から、エンジニアリングの段階に進んだ。オランダShell社、米Exxon Mobil社といったオイルメジャー、米Dow Chemical社のような化学品メーカーが既に開発に着手。Exxon Mobil社は6億米ドルを超える額を投資するという力の入れようだ。米国には約200社のバイオベンチャーがあり、藻の栽培や燃料化にリスクマネーが殺到している。

自動車関連のメーカーで先頭を走っているのは日本のデンソーだろう。既に基礎研究室内で藻の培養を進めている(図1)。シュードコリシスチス[注1]、ボトリオコッカス[注2]という、現在最も注目される藻を2種類とも手掛けている。シュードでは慶応義塾大学、中央大学、京都大学と組む一方で、ボトリオでは筑波大学と組んでおり、国内の主要プレーヤーをほぼ押さえた。

シュードは海洋バイオテクノロジー研究所の藏野憲秀氏らが温泉から発見したもので、デンソーは藏野氏を主幹としてスカウトした。同研究所は閉鎖、デンソーはシュードについて同研究所から使用権の委譲を受けた。

大量の燃料が得られる理由

藻は耕地の広さ当たりの収穫量が多い。現在開発しているものの目標値では、土地1ha(ヘクタール=100m四方)、1年当たり684GJ(ギガジュール、ギガは10億)の燃料を作ることができる(図2)。

図2 各種バイオ燃料の面積当たり収穫量  (a)はBDF(バイオディーゼル燃料)、(b)はバイオエタノール。藻はエネルギーの収穫量で高等植物を圧倒するが、太陽電池には及ばない。

図2 各種バイオ燃料の面積当たり収穫量  (a)はBDF(バイオディーゼル燃料)、(b)はバイオエタノール。藻はエネルギーの収穫量で高等植物を圧倒するが、太陽電池には及ばない。

[注1]正しくはシュードコリシスチス・エリプソイディア(Pseudochoricystis ellipsoidea)。緑色の単細胞植物。
[注2]正しくはボトリオコッカス・ブラウニイ(Botryococcus braunii)。ボトリオコッカスには、ブラウニイのほか2種類がある。
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