デジタルで攻めるKADOKAWA コミックを世界へ無料同時配信

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2014/3/3 19:25
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掲載が終わった話についてはグループで展開する電子書店「BOOK☆WALKER」などへの導線を用意。電子書籍での購入を促し、定期購読する読者の輪を広げる。オリジナル作品は新レーベルを冠して発売する計画だ。有料メニューでは、プレミアムな大型作品を用意するという。

■台湾・中国進出で蓄えた翻訳ノウハウ活用

集客目的で一部人気作品はカラー化で配信。画面は「機動戦士ガンダム」。イラスト/安彦良和 (C)創通・サンライズ

集客目的で一部人気作品はカラー化で配信。画面は「機動戦士ガンダム」。イラスト/安彦良和 (C)創通・サンライズ

多言語化については台湾子会社の協力を得る。KADOKAWAは早くから台湾や中国に進出し、情報雑誌やコミック雑誌を刊行した実績がある。現地に設立済みの編集部には中国語への翻訳ノウハウが蓄積されており活用する。英語化についても「外部を頼らず内製できる体制を整える」(コミックウォーカーの責任者である古林英明統括部長)という。

当面は大半が日本語のみの対応で、公開と同時に3カ国語で読めるのは40作品に限られる。ただ順次増やしていく計画だ。古林統括部長は「いずれフランス語対応にも挑戦したい。フランス語圏は書店網が整備されていないアフリカにも広がっており、彼らにも日本のコミックを届ける」と野心をにじませる。

集客効果を狙って、一部作品のカラー化にも乗り出す。連載から35年がたった今もファンが多い「機動戦士ガンダム」や、社会現象を起こし映画化されるなど再び人気が高まっている「新世紀エヴァンゲリオン」のカラー版を同サービス限定で配信する。ガンダムの主人公の声を担当した声優の古谷徹氏は「世界20の国や地域に行った際、各地で(ガンダムなど)日本のマンガやコミックが人気を集める事実を肌で感じた。デジタルの力を借りて、世界のファンに最新コミックを届けられる意義は大きい」と評価する。

■ボロもうけするアングラサイトに一撃狙う

実はKADOKAWAが最新コミックの世界同時配信に踏み切るのは、海外で横行する違法なコンテンツ流通を撲滅したかった事情もある。例えば集英社が刊行する週刊コミック誌「週刊少年ジャンプ」の場合、月曜日発売にもかかわらずその前週の水曜日にはアングラサイトに英語化されて出回っているのが現状。ネットに流す犯罪集団がおり、書店に並ぶ前になんらかの形で雑誌を手に入れ、世界に散らばる数千もの翻訳チームが分担して一斉に英語化してしまうのだ。

有力なアングラサイト3つだけでも月間ユニークユーザーは900万人に上り、ページビューは20億に及ぶ。彼らはネット広告で収益を得ており、その金額は年間で約12億円に及ぶ。日本の出版業界は本来取り込めるはずの読者を取りこぼし、巨額の収益機会を逸していた。

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