2018年12月18日(火)

木くずから水素 新技術、燃料電池車に活用 ジャパンブルーエナジーの堂脇社長に聞く
編集委員 滝 順一

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2013/3/6 7:00
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――ドイツからの技術導入が根っこにありますね。

「もともとはドイツの鉱山会社、DMTの2人の技術者が社内ベンチャーで開発した。小さな実験プラントをつくっただけで資金集めが思うようにいってなかった。私はある企業の紹介で技術のことを知り、実地にみて日本で使えると思い、2002年に日本での独占的な実施権を買った」

木くずや汚泥などから水素ガスをつくる技術の仕組み(ジャパンブルーエナジーの資料をもとに作成)

木くずや汚泥などから水素ガスをつくる技術の仕組み(ジャパンブルーエナジーの資料をもとに作成)

「ただ買ってきたはいいが、商用プラントにつなげるデータがない。そこで新エネルギー・産業技術総合研究所(NEDO)から資金を得て徳島県阿南市に実証プラントを建てた。また当社の株主でもある土木工事会社のライト工業が環境省の補助金をもとに島根県出雲市にも実証プラントを建設、実用化に必要なデータやノウハウを蓄積することができた」

「阿南市のプラントは実証試験を終えて解体したが、出雲市のプラントはライト工業が国から払い下げを受けたうえで当社に売ってもらった。自分のプラントにできたので補助事業の枠を超えた様々な実験ができ用途も広がっている。また最近は北米やアジア、欧州から見学者が絶えず、国内だけでなく海外からも注目されているようだ」

「ちなみにドイツのベンチャー企業は太陽光発電事業会社に吸収合併されたが、1年ほど前にその発電会社自体の倒産が伝えられた」

――補助事業から商用化への課題は。

「コストを抑える改良が大事だ。当社はプラントメーカーではない。発電事業を考えているので、補助事業でプラントさえ売れればいいとは思っていない。固定価格買い取り制度を利用しながらも長期的に利益のあがるビジネスモデルを考えていかなくてはならない。実証プラントでは3段のタワー型の構造だったが、これを2段にして構造を簡素化、より熱効率の高いものにする改良をする」

「出雲のプラントを使って大和リースや豊田通商、三井化学とともに、下水汚泥を使って水素を製造する技術の実証に取り組んでいる、また宮古や出雲のほかにも自治体や地元企業と手を組んで商用プラントの建設を国内5、6カ所で計画中だ」

 ■取材を終えて
 堂脇社長は大手電機企業に勤務した後、父が興したコンサルティング会社に転職した。そこで地域再生や環境関連の調査やコンサルタントに携わるなかで、新技術の存在を知った。ものづくりが好きで「コンサルティングなど虚業では」と腹の底では思っていたそうで、たちまち新技術の潜在性に魅了されたという。
 「ブルータワー」と名付けられた水素製造技術はその名の通り、縦長のタワー構造が特徴だ。アルミナボールが最上段で加熱された後、下に落ちていく。二段目の改質器でバイオマスガスと出会い、最下段の分解器で木材チップと接触する。各段を通るアルミナボールの数と温度の管理がプラント性能の決め手になる。堂脇社長によると「蒸気機関車の運転に似たアナログ的、職人的なノウハウが必要だが、これをパッケージ化して商用化につなげるのも課題だ」そうだ。

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