2018年12月19日(水)

木くずから水素 新技術、燃料電池車に活用 ジャパンブルーエナジーの堂脇社長に聞く
編集委員 滝 順一

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2013/3/6 7:00
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木くずや下水汚泥などから水素をつくり出す新技術が注目されている。ドイツからの技術導入をもとに実用化技術を磨いてきたベンチャー企業、ジャパンブルーエナジー(東京・千代田)を中核に、岩手県宮古市で水素を利用する地域復興プロジェクトが始まった。同社の堂脇直城社長に新技術の潜在力などを聞いた。

堂脇直城ジャパンブルーエナジー社長

堂脇直城ジャパンブルーエナジー社長

――宮古市のプロジェクトはトヨタ自動車などの大手企業と組んでの挑戦ですね。

「宮古市のほか12社の企業とともに、宮古市ブルーチャレンジプロジェクト協議会(会長・西村真名古屋大学教授)を昨年11月に設立した。これから特別目的会社(SPC)を設立して発電施設『ブルータワー』を建てて間伐材の木質チップ(日量70トン)を原料に水素が主成分の改質ガスを製造、ガスエンジン発電(出力3000キロワット)に取り組むと同時に、熱利用(重油換算で1日3500リットル相当)と純度の高い水素の利用(毎時40立方メートル)も試みる」

「電気は固定価格買い取り制に基づき電力会社に売却、熱はハウス栽培などに利用、水素は燃料電池車の燃料に用いる。燃料電池車約200台を動かせる」

「東日本大震災の被災地では被災時から電気の供給が止まって大変な目にあったとの思いが強い。宮古市も1週間くらいは電気の供給を絶たれてもエネルギー自立ができる町にしたいと要望が強い。それには電気自動車ではなく燃料電池だとトヨタは考えているようだ。燃料電池車はわずか3分間の水素充填で600キロ以上走れるという。有事の家庭用発電機に使えば1週間は供給可能、避難所なら燃料電池搭載のバスをつなげばよい」

「水素は石油に代わる燃料ともいわれるが、木くずなど有機廃棄物から製造できる技術を持つのは世界でも当社だけだ。森林を保全しながら化石燃料を使わず水素供給ができる」

――どのような技術なのですか。

「カギとなるのはアルミナセラミックスの小さな球体(直径約1センチ)だ。これを加熱して木質チップなどバイオマス原料の中に落とし接触させる。バイオマスは熱分解しメタンなどのガスが発生する。このガスを高温のアルミナボール、水蒸気に接触させて改質、水素をつくり出す」

「アルミナのボールがプラント内で熱を運ぶ媒体(ヒートキャリアー)として働き、同時に木材などから出るやっかいなタール分を吸い取り、装置の中に残留しないようにする。アルミナボールは反応過程で生ずる副生ガスの燃焼で加熱するためシステム全体の熱効率が高い。熱分解器など心臓部は常圧でよく、原理的には非常に簡単な仕組みだといえる」

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