ニッチ市場を大きく育てる 異彩放つゲーム会社の戦略
ジャーナリスト 新 清士

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2013/7/5 7:00
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スマートフォン(スマホ)向けソーシャルゲームの新しいソフトウエアプラットフォーム「ブシモ」。このプラットフォームを開発・事業化し、成果を上げ始めた中堅ゲーム会社がブシロード(東京・中野)だ。6年前に設立された同社はトレーディングカードゲーム(TCG)の開発・販売が主力で、2012年7月期の連結売上高は約150億円。TCGはコンピューターを使ったソーシャルゲームと違い、紙製のカードを使って実際に人と人が向き合って対戦するゲームだ。TCGで成長してきた同社はなぜスマホゲーム市場進出を決めたのか。同社の戦略は混迷が続くゲーム業界で異彩を放っている。

■ジャスダック上場後に挫折を経験

ブシロードの木谷高明社長

ブシロードの木谷高明社長

ブシロードの木谷高明社長はブシモを採用した理由について「本当は競争が激しいスマホのソーシャルゲームに進出したいとは思わなかったが、エンターテインメント産業にかかわる者として今、かかわらない方がリスクが大きいと判断した」と語る。

木谷社長の経歴はユニークだ。業績が良かったころの山一証券でトップクラスの営業マンとなった後、1984年に独立。アニメやゲームといったオタク市場向けの商品を扱う会社「ブロッコリー」を設立した。売上高は順調に伸び、100億円を超えたところで01年にジャスダックに上場。しかしその後、業績が悪化。支援のため他社の資本が入り、07年に経営責任を取って同社を退職し、ゼロからの再出発としてブシロードを設立した。

ブシロードが展開しているトレーディングカードゲームの一部

ブシロードが展開しているトレーディングカードゲームの一部

TCGは男子中高生に人気のあるゲームジャンルだ。紙に印刷された様々なカードには、それぞれ特有の特別ルールが書かれている。それをうまく組み合わせて自分のカードのチームをつくり、相手と競い合う。ルールが非常に複雑なポーカーのようなゲームといえる。

ゲームを始めるには、まず1300円前後のトライアルデッキと呼ばれる50枚のカードパックを購入し、ゲームを遊ぶうえで必要最小限のカードの組み合わせを手に入れる。その後、必要に応じて8枚300円程度で販売されている新しいカードを追加購入し、自分のチームを強くすることができる。

紙のカードは1枚当たりの印刷費が10円前後と安価のため利益率は高く、ヒットすると大きな利益を生みだす。

日本玩具協会によると、TCGの12年の市場規模は855億円。「ポケモンカードゲーム」(ポケモン)、「遊戯王ゼアル オフィシャルカードゲーム」(コナミ)、「ガンダムウォーネグザ」(バンダイ)、「デュエル・マスターズ」(タカラトミー)などが激しい競争を繰り広げている。

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