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「アナ雪」快走…エンタ業界、上半期ヒットランキング

日経エンタテインメント!

 2014年の上半期、どんなエンタテインメントが多くの人々の心を動かしたのか。売り上げや視聴率、興行収入といったデータに、社会現象度や話題性、新規性などを加えて、「日経エンタテインメント!」が上半期ヒットランキングを作成。2013年はドラマの当たり年だったが、今年は『アナ雪』が大ヒット。楽曲人気により、その人気は広がり続けている。長い歴史に幕を下ろした『笑っていいとも!』やNHKの『連続テレビ小説』枠からは『ごちそうさん』『花子とアン』が話題となった。これらのヒットが意味するものとは……。

編集部の選んだ、2014年上半期に話題を巻き起こしたヒット作のランキングは表の通り。トップスリーの顔ぶれの共通項は「伝統と挑戦の融合」だ。

興行収入200億円を超え、日本歴代で『千と千尋の神隠し』『タイタニック』に次ぐ第3位となった『アナと雪の女王』は「ダブルヒロイン」「女性監督」という2つのディズニー史上初にチャレンジした意欲作だ。様々な運命を背負った登場人物たちが描くストーリーは、大人もうならせる奥深さを持つ。一方、笑いを巻き起こすキャラ、夏に憧れる雪だるま「オラフ」の存在により、親子で安心して楽しめるという伝統も、しっかり踏襲している。

各国でカバー曲が大ヒット

さらに過去の『美女と野獣』『アラジン』など、ディズニー映画発となった楽曲のヒットをより発展させた形として、挿入歌『レット・イット・ゴー』を各国の人気歌姫たちが母国語でカバー。世界中で、自国の作品のように『アナと雪の女王』へ親近感を抱くファンが続出しているのも、伝統と挑戦の共存によるものだろう。

31年と6カ月もの長い歴史に幕を下ろしたバラエティー番組『笑っていいとも!』(フジ系)。番組の顔であるタモリが自ら、2013年10月の放映中に番組終了を表明。周囲の共演者すら驚きを隠さなかったその告知手法は、伝統ある番組の終了発表としては、過去に例のない挑戦だった。安倍首相の出演や、業界的にありえないとされていた、松本人志と石橋貴明の競演などのサプライズで、視聴率は上昇。盛り上がりのなかで3月の最終回を迎え、視聴者には「最後まで挑戦を続けた、伝統ある番組」として強い印象を与えた。

50年以上もの歴史を持つNHKのテレビドラマ枠『連続テレビ小説』は高視聴率が続いている。『ごちそうさん』『花子とアン』とも「ヒロインが努力を重ね、前向きに人生を切り開いていく」という伝統的なストーリーだ。そこに『ごちそうさん』では、キムラ緑子演じる和枝の「いけず」が、どこまでエスカレートするのかというハラハラ感。『花子とアン』では『赤毛のアン』を連想させるエピソード探しと、ドラマ好きにも訴求するスパイスを効かせているのが好調の理由だろう。

伝統だけではマンネリ化してしまい、斬新な挑戦だけでは一部のファンしかついてこれない。双方のバランスをうまくとったことが、社会現象に結びついたのだ。

それでは1位から10位、それぞれの選定理由について解説していこう。

【2014年上半期ヒットランキングの選考基準】
 テレビ番組、音楽、映画、本、ゲームなど、オールジャンルのエンタテインメントを対象に、セールス、新規性(取り組みの新しさ)、社会影響度(ファンやユーザーへの影響がどれくらいあったか)などに基づき、編集部がヒットの度合いを評価した。データについて特に表記のない場合、テレビ視聴率はビデオリサーチ(関東地区)、音楽CDはサウンドスキャン、本はオリコンのものを基に編集部で作成、映画の興収は編集部調べ
2014年上半期ヒットランキング トップ10の選定理由

1位 アナと雪の女王

国内の興行収入が200億円を突破。日本歴代で『千と千尋の神隠し』『タイタニック』に次ぐ第3位となる記録的なヒットとなったのはじめ、サントラ、グッズなど様々な分野でもヒットが広がり社会現象化。松たか子や神田沙也加、May J.らが歌う日本語版の劇中歌『レット・イット・ゴー~ありのままで~』が大ヒットし、配信チャート上位独占の後、サントラは70万枚を突破。子どもに人気の雪ダルマ、オラフはグッズも売れ行き好調。

日本での興行収入が200億円を突破。歴代3位となった『アナと雪の女王』   (C)2014Disney. All Rights Reserved.

2位 笑っていいとも!

2014年3月末で約32年間の放送の歴史に幕。最終回に向け、安倍首相をはじめとする大物ゲストの出演が相次ぐなどで盛り上がり、終了前の視聴率は上昇。グランドフィナーレでの松本人志、石橋貴明、太田光らトップ芸人の予想外の競演も大きな話題に。タモリ関連の本も次々と発刊されベストセラーも生まれるなど、国民的な関心事となった。

3位 NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』『花子とアン』

『あまちゃん』以降、人気枠として高視聴率をキープ。いずれも、激動の時代にヒロインが努力を重ね、人生を切り開いていくという王道スタイルが人気のポイント。それに加えて、『ごちそうさん』では小姑(こじゅうと)の嫁いびり、『花子とアン』では『赤毛のアン』へのオマージュ場面探しなど、視聴者の興味を引きつける新たな要素も多く、話題が広がった。

4位 永遠の0

国内興行収入87億円を記録して、『アナと雪の女王』に次いで映画で2位の大ヒット。V6の岡田准一、三浦春馬と若手人気俳優を起用。戦争をテーマとしながらも、三浦が演じる現代の若者視点でストーリーが進むため、若い世代も感情移入できることで支持を集めた。原作もベストセラーを続けており、"日本の原点"を問うテーマが共感を呼んだ。

5位 村上海賊の娘

和田竜の歴史小説。戦国時代に瀬戸内海を掌握した村上水軍の長の娘の活躍を描く。書店員が選ぶ「本屋大賞」を受賞したことでセールスが急上昇。上下巻で累計発行100万部を突破。男性ファンが多いジャンルだが、自由闊達で男前なヒロインに共感する30代40代女性の支持も集めベストセラーに。

6位 ものまねメイク

素顔は似ていなくても、お手軽にメイクだけで憧れの有名人とそっくりになれる「ものまねメイク」が若い女性にブーム。元AKB48の板野友美から羽生結弦まで、様々なものまねメイク術をブログで公開した「ざわちん」が一躍人気者に。

7位 ビリギャル

小学生レベルの学力だった女子高生を、慶應大学合格に導いた塾講師が書いたドキュメント本が35万部を超えるベストセラーに。ひたすら生徒をほめ、信頼関係を築く教育方針を説く内容は感動的でもあり、企業の管理職らに指導本として広がりをみせている。

8位 ディズニー ツムツム

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のLINE上で楽しむゲーム。ディズニーキャラのぬいぐるみをつなげて消していく、お手軽なパズルゲームが2カ月で1000万ダウンロードを突破。『アナと雪の女王』に登場するオラフはじめとする人気キャラたちのかわいらしさと、わかりやすいルール、友だちと得点を競う合う仕掛けで、女性のカジュアルゲーマーをとらえて人気アプリに。

9位 妖怪ウォッチ

不思議な時計の力で妖怪が見えるようになった少年が、困ったことを引き起こす妖怪を説得したり、戦って友だちになるストーリー。ニンテンドー3DS用のゲームは100万本を突破、アニメ、コミックス、ホビー、音楽とメディアミックスでブームが広がり、小学生を夢中にさせている。

10 位 ワン・ダイレクション

英国出身のボーイズグループ5人組。世界的人気を誇っていたが、日本では2014年1月からNTTドコモのCMに起用され、親しみやすい楽曲と明るいキャラクターが幅広い層にまで一気に広まった。2015年2月に開催される、2度目の来日公演が発表となるなど、話題が続く。

(C)LEVEL5/妖怪ウォッチプロジェクト・テレビ東京

(日経エンタテインメント 伊藤哲郎)

[日経エンタテインメント! 2014年7月号の記事を基に再構成]
[参考]日経エンタテインメント! 2014年7月号(2014年6月4日発売)の総力特集は「2014年上半期ヒットランキング」。映画やテレビ番組に話題作が目立った今年前半のエンタテインメント業界について、各種データを取り入れながら独自の視点を交えてヒットの要因を分析する。インタビューには嵐の櫻井翔さんや女優の杏さんが登場。そのほか特集「女子アイドル夏の陣」、業界研究「音楽業界サバイバルのシナリオ」なども掲載。

日経エンタテインメント! 2014年 07月号 [雑誌]

編集:日経エンタテインメント!
出版:日経BP社
価格:600円(税込み)

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