2018年8月20日(月)

グーグルが新SNSで「実名登録」にこだわる理由
ブロガー 藤代 裕之

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2011/8/4 7:00
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 米グーグルが開始したソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「Google+(グーグルプラス)」は、「フェイスブック」や「ツイッター」といった既存のソーシャルメディアの切り崩しだけが狙いではない。ウェブ上のデータを扱ってきたグーグルが次に狙っているのは「人」のデータにある。SNSは単なるサービス事業の延長ではなく、さまざまなデータを結び付ける同社のビジネス大転換への第一歩といえる。

■批判されても「実名登録」を推進

 サービス開始後1カ月で、世界中に2000万人以上の利用者を獲得したグーグルプラスだが、匿名で利用しているとみられるユーザーのアカウントが停止・削除されて騒動になるなど、自分の名前で登録する「実名登録」を強制させる方針に対して批判が起こっている。アカウントが停止になると、「Gmail」「Google Docs」「Calendar」などほかのサービスが利用できないという情報も広がった。グーグル幹部は「改善する」と発言しているが、実名登録の推進という方針に変更はないようだ。

 フェイスブックが2月に日本でサービスを開始したときも、匿名利用ユーザーのアカウント削除が話題となった。なぜSNS各社は、ユーザーの情報を欲しがるのだろうか。それは実在するユーザーとアカウントを特定することが広告ビジネスに直結するからだ。

 一部の海外メディアは、グーグルがウェブ上の「データ取引所」に乗り出すと報じている。最適な広告を打つためにデータを売買できる仕組みを整えるもので、マーケティングでは「行動ターゲティング」と呼ばれる手法の一種である。

 従来の広告ビジネスでは、広く読まれる新聞や視聴率の高い番組、人通りの多い街頭をいかに押さえるかが重要だった。一方、ネットでの広告ビジネスは検索連動型が多く、利用者が検索するキーワードに応じて画面上に広告を表示させる。行動ターゲティングはこれをさらに進め、例えば自動車のサイトばかり見ているユーザーは購入意欲が高いと判断して画面に関連の広告を出す、といったことが可能になる。

 マスメディアを使って「できるだけ多数に見せたい」という考えから、利用者と広告を結び付けるという「マッチング」へと変化しているが、うまく結び付けるにはデータの精度向上が求められる。そこで、各社はユーザー情報を欲しがるのだ。現在報じられているデータ取引所はクッキーと呼ばれるウェブの閲覧履歴を活用するようだが、リアルなユーザーの情報を扱えれば、消費者の行動を知りたい企業にとってデータ取引所は一層魅力的となる。

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