目に見えぬ放射線を測る「ガイガーカウンター」
原発事故で世界的な品不足 できること、できないこととは

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2011/5/8 7:00
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シーベルトとは放射線が人体にどれだけ影響があるかを示す。ある都市の空間線量率が「0.059μSv/h(マイクロシーベルト毎時)」なら、1時間その場所にいると0.059μSvの放射線の影響を受けるという意味だ。自分が受けた線量を足し合わせていけば、「一般公衆に対する限度は年間1ミリシーベルト」といった基準値との比較もできる。つまり現実の放射線の数を基に、その影響度を比較可能な分かりやすい数値に換算しているわけだ。

原発事故のあと、放射性物質(「核種」という)のなかで「ヨウ素131」や「セシウム134」、「セシウム137」が計測対象として扱われるのは、核反応で生成される量が多くしかもガス性で飛散しやすいため。そして「出る放射線のエネルギーは、核種によって違っている」(応用光研工業の福沢専務)。エネルギーが違えば、人体に与える影響も変わってくる。

ここで注意すべきなのは、ガイガーカウンターではエネルギーの違いを測定できないこと。そのため、放射線数からシーベルトへの換算時の精度を高めづらい。それ以外のサーベイメーターでも、機種によって測定結果に差異が生じる場合がある。放射線数からシーベルトなどに読み替える際の換算式が異なったり、換算条件の設定などが違うためだ。

さらに装置1台ごとに、感度や精度を調整する「校正」と呼ばれる作業が必要で、「"はかりの一種"であるサーベイメーターに正しい値を表示させるには、少なくとも1年に1度は校正が必要」(日立アロカの山田部長)。また「ガイガーカウンターには寿命がある」(同)ため、適切なメンテナンスをしないと精度が保てない。

専門家は「個人が市販のガイガーカウンターが測定した放射線量と、公的機関のモニタリングポストなどによる測定結果を、横並びで比較することは現実的ではない」と口をそろえる。

■ガイガーカウンターが「できること」「できないこと」

ゲルマニウム放射能計測器。食品の中に含まれる放射能などを厳密な環境下で計測する

ゲルマニウム放射能計測器。食品の中に含まれる放射能などを厳密な環境下で計測する

一般消費者が最も心配なのは、食品や飲料が放射能に汚染されていないかどうかだろう。だが、これから食べようとしている食品の放射能が基準値を超えているかを測定するのは、「市販の測定器の精度では難しい」(日立アロカの山田部長)。公的機関などがゲルマニウム半導体検出器などで厳密な環境の下で調べた測定値と、簡便な機器による数値を単純には比べられないからだ。

では市販のガイガーカウンターを使うことにまったく意味はないのだろうか。産総研の齋藤科長は「放射線量が以前よりも増えたか減ったかを比較する目安としては使える」と指摘する。同じ場所で数日前に比べて空間線量率が急に高まったとか、買ってきた食品などものの表面から放射線がたくさん出ているようだ、といったことを知りたいのであれば、一定の目的は果たせるという。

3月の原発事故以降、企業などでは製品輸出の際にサーベイメーターが多く使われているという。海外では各国が定めた基準で、輸入製品の表面の放射線量をチェックする。このため費用がかかる輸出前検査を認証機関に委託する前に、自主的に検査する企業が増えている。

ガイガーカウンターを含むサーベイメーターを活用する際には、それぞれの特性をしっかりと理解する必要があるだろう。

(電子報道部 松本敏明)

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