定額配信サービスは音楽業界の救世主にならない

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2014/4/3 7:00
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■価格決定権持たない配信側

対照的に、現行の計画は満足のいく結果は得られない運命にあるようにみえる。2013年にストリーミング利用者数が800万人増えたことを考えると、月10ドルという料金設定でもうまく機能しているようにみえるかもしれない。しかし実際はここ3年間の伸び率はほとんど上昇していない(その前の2年間で、新規利用者数は1200万人増えていた)。現在の流れでいくと、年120ドルで1億人がストリーミングを利用するようになるまで10年はかかるだろう。利用者が増えない可能性だってある。

アップルが提供する「iTunesラジオ」のサイト画面。アップルが選曲した音楽から好きなジャンルを選んで聴く。iTunesと連携し、自分好みの曲が流れる「ラジオ局」も提供

アップルが提供する「iTunesラジオ」のサイト画面。アップルが選曲した音楽から好きなジャンルを選んで聴く。iTunesと連携し、自分好みの曲が流れる「ラジオ局」も提供

こんな例もある。先日、米パンドラは広告無しで音楽を提供するパンドラ・ワンというサービスの料金を引き上げた。パンドラはスポティファイやビーツとは異なり、大量の音楽リストのなかから1曲ずつ選ぶことはできないが、いうまでもなく非常に人気があり、2億5000万人の登録利用者を持つ。ところが、同社によるとパンドラ・ワンに料金を支払っているのは330万人だけという。料金はわずか年36ドルだったが、今後は現在登録している利用者が48ドル、新規利用者は60ドルとなる。

パックマン氏の理論で考えると、これでは大多数の利用者を引きつけるには高すぎる。パンドラがすでに販売で苦戦していることを考えると、料金を引き上げても状況を変えられそうもない。(広告無しの)iTunesラジオが年25ドルしかかからないという事実も、パンドラには逆風だ。印税率が大幅に上昇しているため、パンドラは他に選択肢はなかったとしている。

スポティファイやその他の同業他社の抱える問題も、根っこは同じ。価格のコントロールができないという問題だ。大手であっても似たような状況に陥る。音楽はレコード会社と音楽出版社が支配している。配給会社にどんなに資金力があっても音楽業界を一つにまとめていこうという強い意欲があっても、規制側は配給会社側に実権をみすみす渡すとは考えづらい(私は以前、アップルはパンドラを買収すべきだと論じた。現時点では、買収すべきなのはスポティファイだ)。

グーグルやアップル、フェイスブックなど業界の巨人が居並ぶ時代だけに、スポティファイやパンドラがこうした巨人の犠牲になる可能性についてガイガー氏は議論していたが、現実には、変化が起きるかどうかはレコード会社次第だ。すぐに変化が起きるとは思わない方がいい。

(2014年3月20日 Forbes.com)

By Mark Rogowsky, Contributor

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