2019年7月18日(木)

定額配信サービスは音楽業界の救世主にならない

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2014/4/3 7:00
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レコード音楽業界にとって、この15年間は惨憺(さんたん)たるものだった。市場規模は1999年の400億米ドルをピークに半分まで縮小した。国際レコード産業連盟(IFPI)によると、2013年もあまり改善したとはいえない。売上高は全体で4%減少したほか、米アップルのiTunes経由が大半を占めるデジタルダウンロードでさえ2%減となった。この分野での減少は初めてのことだ。

音楽の定額配信サービス、スポティファイが新規株式公開(IPO)を準備しているという推測がある=ロイター

音楽の定額配信サービス、スポティファイが新規株式公開(IPO)を準備しているという推測がある=ロイター

一方、明るいニュースもあった。世界の利用者数が2800万人と推計される有料ストリーミングサービスは初めて10億ドルを突破した。IFPIによると前年の2000万人から増加しており、音楽業界の関係者の多くが、ストリーミングの売り上げで音楽業界は新たな高みに到達できるのではないかと信じている。しかしもっと深く読み解くと、この見方と、専門家の目からみてそこまでたどりつくのに必要なこととの間には根本的なズレがあることに気づくだろう。そのギャップを埋めない限り、ストリーミングサービスは金のなる木に育たず、大失敗に終わってしまうかもしれない。

■月額料金増と利用者増ならば…

ベンロックのベンチャーキャピタリストで音楽ダウンロード事業を手掛けるeMusicの前最高経営責任者(CEO)、デビッド・パックマン氏はブログに「音楽の対価」と題した示唆に富んだ文章を寄せている。この中でパックマン氏はCD全盛期に人々がどれだけの金額を音楽に注ぎ込んできたかという歴史を振り返っている。それによると、年に6億人が400億ドル、1人当たり年64ドルを支払っていたことがわかった。現在、(レコード)音楽に支払われる金額はおよそ半分だが、興味深いのは1人当たりの出費はそれほど劇的に変化していないことだ。例えばアップルのiTunesでみると、年48ドルである。

しかし、英ベンチャー企業のスポティファイや最近サービスを開始した米ビーツ・ミュージックを含むほとんどのストリーミングサービスの米国での料金は1カ月に約10ドル。世界最大規模の国際音楽産業見本市、Midemで、米エージェンシーのウイリアム・モリス・エンデバーの音楽部門トップ、マーク・ガイガー氏はストリーミングサービスの潜在力について強気のプレゼンを打った。ガイガー氏はレコードレーベルがストリーミングサービスを完全に受け入れ、自社の音楽をすべて入手可能にすべきだと提案した。さらに、こうした業者の提供する低料金は「安く始まってもいずれ値上がりする」として恐れるべきではないとした。

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