2019年4月26日(金)

踊る町民動画、AKBのお墨付き 兵庫・猪名川
豊かな自然や観光スポットPR

2014/2/2付
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兵庫県猪名川町の魅力を伝えようと地元の男性2人が奮闘している。町の老若男女約400人に呼び掛け、豊かな自然や観光スポットなどの前でアイドルグループAKB48のダンスを次々と踊る動画を"費用ゼロ"で制作。インターネットに投稿し、「笑顔がすてき」など大きな反響を呼んだ。「小さな町だからこそある人の温かみを伝えたい」。2人は仲間らとさらに知恵を絞る。

町民が出演する映像を制作し、猪名川町をPRする上福田さん(左)と岩本さん(兵庫県猪名川町)

町民が出演する映像を制作し、猪名川町をPRする上福田さん(左)と岩本さん(兵庫県猪名川町)

「観光スポットがたくさんあるのにもったいない」。同町に住む岩本幹男(43)はずっと歯がゆい思いをしていた。

隣接する兵庫県川西市の旅行会社で働き、仕事で何度も訪れるうちに澄んだ空気に引かれた。「ここで子供を育てたい」。神戸市出身だったが、妻が妊娠した17年前、猪名川町に居を構えた。

大阪、神戸から近く、豊かな自然や豊臣秀吉の財宝埋蔵伝説のある多田銀銅山鉱山跡などもある。添乗員として国内外の観光地を回った経験から「魅力を伝え切れていない」と思っていた。「猪名川のために何かできないか」。同世代が集まる地元のイタリアンレストランはアイデアを話し合う場になった。

「これおもろいな、うちらでもできないか」。レストランで働いていた上福田(かみふくだ)守彦(38)が昨年9月、岩本に見せたのはAKB48の曲「恋するフォーチュンクッキー」に合わせ、県知事や職員も県庁で踊る「『恋する』佐賀県庁版」の動画だった。

同町出身だが、サーフィンが趣味の上福田は「海の近くで過ごしたい」と約10年前に宮崎に移り住んだ。一昨年、子供の小学校入学を機に「猪名川の自然の中でのびのび育ってほしい」と戻った。町を出て、地元の魅力を見いだしていた。

AKBの曲さえ知らない岩本だが、「地元の名所を紹介すれば町おこしにつながる」と応じた。佐賀県は費用50万円を県が負担したと知り、すぐに町役場に協力を求めたが、反応は鈍い。「じゃあ自分たちでやろう」

上福田が自分のスマートフォンで撮影、編集。岩本が中心となり町民に声を掛け、費用はゼロ。撮影場所は阪神間を一望できる大野山、棚田、ペンションなど観光スポットを中心に50カ所。女子高生、お年寄り、野球少年など老若男女約400人が照れながらも爽やかな笑顔で踊ってくれた。

同月末には踊りをリレー形式につないだ動画をネットに投稿、アクセス数はすぐに5万件を突破した。「町民の笑顔が温かくていい」。間もなく動画サイトのAKB48の公式チャンネルで紹介される公式認定に。多くのグループが投稿するが公式認定はまれで、町役場には「観光パンフレットが欲しい」などの問い合わせが殺到、アクセス数も今では計70万件超だ。

予想以上の反響に驚く上福田は「小さな町だからこそある人と人のつながりも猪名川の財産」と振り返る。突然の依頼に快く応じ、知り合いを紹介してくれる若者、「ご苦労さま」とお茶やおにぎりを出してくれるお年寄りらの顔を思い出す。

出演者とのつながりは続き、春には地元の「桜まつり」で踊りを披露する計画だ。岩本は言う。「大きな娯楽施設はないけど町に来ればすてきな人が待っている。そんな魅力を発信し続けたい」=敬称略

猪名川町 兵庫県南東部に位置する人口約3万人の自治体。町域の8割が県立自然公園で山林が多く、川辺にはホタルやオオサンショウウオなどが生息する。大阪から約25キロと比較的近いこともあり、町南部の丘陵地は住宅地として人口が増加している。

(村越康二)

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