マイクロソフトの苦悩 自社タブレットで「板挟み」

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2013/3/2 7:00
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この戦略は、アップルやグーグル陣営のタブレット端末に対抗する意味でも重要になる。現在タブレット端末の市場は、グーグル陣営を中心に過当競争となっており、値崩れが著しい。NECやソニー、富士通など国内メーカー製でも3万~4万円台は珍しくなく、やや小型の7型タブレットでは1万円台の製品もある。

単純に価格だけで比較すればSurfaceは初めから劣勢だ。そこで、操作体系の良さやOfficeを内蔵している点など、Surfaceの利点を説明し販売につなげられる販売員が欠かせない。

■「恐る恐る」売り出す日本MS

もっとも、日本MSが販路を絞った背景には、もう1つ別の事情がある。日本MS自身、今回のSurfaceの発売は「恐る恐る」なのだ。

Surfaceの売れ行きの良しあしが、今後のWindows RTタブレットの命運を分ける(1日、東京・港)

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「我々がPC系のハードウエア事業を手掛けるのは初めて。仮に1000店舗が2000店舗になったら、その分の供給を確約できるのか。(出荷から販売までの)リードタイムがどの程度で、それに合わせてどの程度のSurfaceを用意し出荷すべきなのか。販売店と話しながら学ぶ必要がある。(これまで自社ブランドで提供している)マウスやキーボードと同様にはいかない」(日本MS幹部)

取引する店舗を増やせば出荷台数も増やせるが、一歩間違えば欠品を起こしたり、逆に不良在庫を抱えたりするリスクが高まる。店頭での説明が不十分だと、上述のようにWindows RTに起因するクレームが増加する危険もある。それよりは、大手量販店3社に絞って着実に打ってもらうのが賢明と判断したわけだ。

「これまでWindows RTはタブレット市場をほとんど取れていないが、タブレットへの需要自体は豊富にある。まずSurfaceを発売し、広告も大量に打って入り口を広げたい。それで需要があると確認できれば、パソコンメーカー各社も(Windows RTに)参入いただければよい。Surfaceでシェアを10%取るといった期待はしていない」(日本MS幹部)――。

パソコンの市場規模が縮み始め、パソコンメーカー各社は苦境にあえいでいる。足元ではパソコンメーカーとの食い合いにならないよう配慮しつつ、日本MSがタブレットという新天地に道を付け、中長期的にWindows陣営が盛り返すための足がかりを築けるか。薄型軽量の本体とは裏腹に、Surfaceが背負った使命は重い。

(電子報道部 金子寛人)

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