マイクロソフトの苦悩 自社タブレットで「板挟み」

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2013/3/2 7:00
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樋口社長自身、かつてコンパック・コンピュータと日本ヒューレット・パッカードに勤め、パソコンメーカーの立場からMSと向き合っていた経歴の持ち主である。パソコンメーカー各社が抱く脅威論を身にしみて実感できる。

■「Surface脅威論」に配慮

Surfaceの日本市場投入を発表する、日本マイクロソフトの樋口泰行社長(1日、東京・港)

Surfaceの日本市場投入を発表する、日本マイクロソフトの樋口泰行社長(1日、東京・港)

そこで日本MSは、Surfaceの日本発売に当たってパソコンメーカーにあの手この手で最大限の配慮を示した。まずは発売時期だ。Windows8の発売当初、12年10月から年末商戦にかけての投入は見送り、春商戦の3月まで投入を遅らせた。販路もビックカメラ、ヤマダ電機、ヨドバシカメラの家電量販店3社の約1000店舗と自社のネット通販に限定している。

販売機種も絞り込んだ。2機種あるSurfaceのうち、各社のパソコンと直接競合しかねないフル機能のWindows8を搭載した「Surface Pro」は日本市場への投入をさらに先送り。3月時点では、既存のWindowsとの互換性に制限のある、タブレット用のWindows8「Windows RT」を搭載した「Surface RT」だけを発売する。

それだけではない。日本MSはSurfaceの発売に合わせ「過去最大規模」(同社)のマーケティング活動を展開するが、Surfaceの販促分は半分にも満たない。大半をつぎ込むのは、パソコンメーカーも恩恵に浴するWindows8の販促だ。MSはパソコンメーカーと競合せず、今後も共存共栄していく――そんな姿勢を行動で示したわけだ。

「250機種以上あるWindows8搭載パソコンの中に1機種4モデルを投入するだけで、わずかなポーションにすぎない。それよりもタブレット市場はWindows陣営とそれ以外の陣営との競争がメーン。店頭にSurfaceを含め多くの製品を並べることで、Windows陣営を盛り上げたい」。樋口社長のこの願い通りに、春商戦でWindowsパソコン売り場が活気づくかどうかに注目が集まる。年末商戦が不調に終わっているだけに、春商戦で再びつまずけばパソコンメーカーとの結束にヒビが入る危険もある。

■Windows8と似て非なる「RT」の難しさ

パソコンメーカーとの関係を壊さぬよう、Surface国内参入を慎重に進めなければならない日本MS。それと同時に、タブレットで先行するアップルやグーグル陣営に追いつくには、Surfaceを足掛かりとしてWindows陣営のタブレットを1台でも多く売らなければいけない。ただでさえ難しいかじ取りが必要だが、一層事態を複雑にさせる要因がある。Windows RTというOSの特殊性だ。

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