「キュレーション」大人気 メディアの支配始まるか
ブロガー 藤代 裕之

(2/2ページ)
2014/7/4 7:00
保存
共有
印刷
その他

勢いがある各社だが、グノシーはテレビのヘッドライン、ニューズピックスは経済紙、アンテナはライフスタイル系雑誌のような特徴があることも大きな発見だった。

■既存メディアの敵でない

左から江端、木村、梅田、町野の各氏

左から江端、木村、梅田、町野の各氏

ニュースキュレーションアプリは既存メディアの敵なのか。モデレーターの日本マイクロソフト業務執行役員江端浩人氏が尋ねたところ、「敵ではないと思う」(木村氏)、「プラットフォームとコンテンツをつくる企業が融合する必要がある」(梅田氏)、「既存メディアのコンテンツをブーストする。紙やテレビ、ネットと関係が薄いところの情報を出すことで一緒に大きくなっていくことができる」(町野氏)と3者とも否定した。

キュレーションサービスは、コンテンツを作る側からは「ただ乗り」との批判があった。各社ともコンテンツ制作者との協力関係を模索している。

グノシーは記事の閲覧回数に応じて、コンテンツ提供者に収益を還元する取り組みを行う。毎日新聞社や共同通信社がこの仕組みを使っているとみられる。250メディアと契約するアンテナは、雑誌やラジオ、テレビの番組宣伝を流したり、広告の共同受注を行ったりしている。ニューズピックスは東洋経済やダイヤモンドなどの記事を月1500円で読み放題として、有料課金モデルを模索する。

だが、どれほどの収入がコンテンツ制作者に流れるかは未知数だ。元祖キュレーションサービスといえるヤフーニュースは、ニュースを検索やオークションといったサービスと組み合わせることでユーザーから支持を得てPCネット時代の一大メディアに成長したが、記事を配信した既存メディアは思ったほどの収入を得られなかった。既存メディアにとって、このような状況は2度目なのだ。コンテンツ制作のコストが高い既存メディアにとっては今のままでは厳しい未来が待ち受けることになりそうだ。

■求められる社会的信頼

堀江氏は、多数のコンテンツ制作者がネットに存在すると語った。この状況をつくった要因の一つはヤフーニュースだ。膨大なアクセスをコンテンツ制作者に流す仕組みを整えたことが、新たなニュースサイトが生まれるきっかけになった。

キュレーションサービスが乱立すると、コンテンツ面での差別化が難しくなっていく可能性が高い。そうなると、キュレーションサービスも独自コンテンツを確保する必要に迫られる。キュレーションシステムを中心とした、新たなニュースメディアの生態系が生まれるかもしれない。

独自コンテンツとともに今後のカギになりそうなのが社会的信頼だ。木村氏は「地震が起きたらヤフーニュースを使うように、信頼の基盤をつくっていく必要がある」と述べた。ダウンロードが増え、利用者が増えていけば、社会的な影響力は高まっていく。記事と広告をあいまいにしたり、誤報やデマを拡散したりしてしまえばサービスの信頼は崩れる。

ニュースは、ただ面白ければよいわけではなく、人々が社会を理解し、より良く変えていくためのものでもある。キュレーションサービスが、ニュースメディアに求められる社会的な役割を果たすことができるのかも、大きな課題になりそうだ。

藤代裕之(ふじしろ・ひろゆき)
ジャーナリスト・ブロガー。1973年徳島県生まれ、立教大学21世紀社会デザイン研究科修了。徳島新聞記者などを経て、ネット企業で新サービス立ち上げや研究開発支援を行う。法政大学社会学部准教授。2004年からブログ「ガ島通信」(http://gatonews.hatenablog.com/)を執筆、日本のアルファブロガーの一人として知られる。
  • 前へ
  • 1
  • 2
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]