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丸ごとレビュー PCデータのバックアップ、クラウドとHDDで万全

夏こそデータ保全(上)

フリーライター 竹内 亮介

パソコンのHDDやSSDには、OSのほかにもユーザーが撮影したデジカメ画像、仕事で作成した書類ファイル、家族や仕事相手とやりとりしたメールデータなど、重要なデータがたくさん保存されている。ついうっかり消去してしまおうものなら取り返しがつかない。パソコンが故障して内部のデータが見られない事態に陥ることもめずらしいことではない。

そこで今回は安心、安全にファイルをバックアップし、管理する方法を2回に分けて紹介していこう。時間のある夏休みは作業の好機だ。

ファイルの重要性と更新頻度の把握がカギになる

重要なデータを保存するパーツ「HDD」は、実はパソコンの中でもっとも壊れやすいパーツの一つだ。振動や衝撃に弱く、動作状態のままノートパソコンを持ち歩いたり、ケーブルにつまずいて引っ張ったり、30cmくらい下の床に落とす程度でも簡単に壊れてしまう。

また熱にも弱い。一般的なノートパソコンやスリムタイプの小型パソコンでは、内部が狭く風通しの悪い場所に組み込まれていることが多く、HDDの温度が上がりやすい。つまり、普通に使っているだけでも故障することはあり得るということだ。それだけに「バックアップの備え」の重要性は高い。

バックアップを考える場合、まずは自分がどんなファイルを保存しているのかを把握し、それぞれのファイルの重要性を判断する。「バックアップすべきファイル」と「しなくてもいいファイル」を分類するのだ。実際、整理されていないHDDの中には「今となっては必要ないゴミファイル」が大量にため込まれていることが多い。それらを整理して消去することで、HDDの空き容量を増やせる。

バックアップすべきファイルがはっきりしたら、さらに「基本的には変更の必要がないファイル」「日常的に変更を加えるファイル」の二つに分ける。この二つは、バックアップを行う「頻度」がまったく異なるからだ。

変更を加える必要がないファイルの代表例は、家族で撮影したデジタルカメラの画像ファイルや動画データ、すでにプロジェクトが終了した過去の仕事データなど。こうしたファイルは1回バックアップしておけば、仮に半年後に使っていたパソコンのHDDが壊れてバックアップからファイルを復旧しても、その価値は失われない。

しかし現在進行中の仕事データやメールデータは、半年前のバックアップがあったとしてもほぼ何の役にも立たない。仕事用のファイルは日々アップデートが行われているし、半年間にやりとりしたデータを失ってしまえば、現在のコミュニケーションに支障を来す。

こうしたファイルは「日常的に更新を加えるファイル」の代表例だ。日々更新され、古いデータの価値はほとんどないため、一度まとめてバックアップするだけでは足りない。更新されたファイルも何らかの手段で逐次バックアップしていかなければならない。

更新頻度の高いファイルはクラウドで管理

変更を加える必要がないファイルは、空き容量に余裕がある外付けHDDや、書き込み可能な光学メディアにドラッグアンドドロップでファイルを書き込んでいけばいい。フォルダー名などに「どんなファイルを保存しているのか」を明記しておけば、原則的にはそれだけで十分だ。作業的には一番簡単。

外付けHDDを使うメリットの一つは、コストパフォーマンスの高さと1台あたりの容量の大きさだ。最近は2テラバイト(1テラバイトは1000ギガバイト)の外付けHDDでも1万3000円前後で購入できるようになっており、コストのハードルは低い。

動画ファイルは1個で数百メガバイトだし、デジカメ画像の容量も1枚で3~4メガバイトになることはめずらしくない。BDメディアでも普及価格帯では1枚で25~50ギガバイト、DVDでは9.4ギガバイトしか保存できないことを考えると、バックアップしたいファイルの容量によっては現実的ではないこともある。

一方、現在進行中の仕事のファイルやメールデータなど、更新頻度が高いファイルは一工夫必要だ。いくつか方法はあるのだが、一番簡単なのはクラウドを活用する方法。

ファイルに関しては、指定したフォルダに保存したファイルをインターネット上のネットストレージに自動でアップロードし、パソコン上のファイルとネットストレージ上のファイルを同じ状態に保つ「ファイル同期サービス」を使おう。ドロップボックスやシュガーシンク、スカイドライブなどが代表例。

ファイル同期サービスで指定したフォルダに保存しておけば、ファイルを変更するたびにユーザーが何もしなくても自動で変更後のファイルをアップロードし、バックアップしてくれる。またファイル同期サービスの多くは、過去のファイルの状況を何世代か保存してくれる「履歴」機能がある。

誤って最新ファイルを消去してしまった、あるいは世代の古いファイルの情報を参照したいという場合に便利。個人でこうした履歴を残してファイル管理を行うのは非常に煩雑で面倒であり、いざというときに重宝するはずだ。

メールデータはウェブメールを活用するとスムーズ

メールデータの保存では、インターネット上のメールサーバーにウェブブラウザなどでアクセスしてメールを読む「ウェブメールサービス」を活用する。

ウェブメールの多くがサポートする「別のメールサーバーのメールを読み出してウェブメールとして保存する機能」を使えば、利用しているISPのメールサーバーに届いたメールが、自動でウェブメールサービスにも保存されていく。万が一自分のパソコンが壊れても、別のパソコンからそのウェブメールサービスを参照すれば、今まで送受信したメールデータを失わずに済むというわけだ。

スマホやタブレットなどでメールを受信するためにこうしたウェブメールサービスを利用しているユーザーは多いが、実はいざというときに備えるバックアップという意味でも、有効な手段なのだ。

ファイル同期サービスとウェブメールサービスはクラウドなので、仮に故障してもほかのパソコンからウェブブラウザーなどを使って簡単にアクセスできる。こうした復旧やリカバリーのしやすさも利便性の一つと言って良いだろう。

このようにファイル共有サービスやウェブメールは非常に便利だが、クラウドなので個人のユーザーが利用できる容量に制限がある。一定の料金を支払えば保存できる容量を増やすことはできるが、外付けHDDのように2テラバイトも使えるようなサービスはなく、保存するファイルの取捨選択が必要だ。

◇       ◇

今回はクラウドを使い、ファイル単位で簡単、正確にバックアップする手段を紹介した。ただ、クラウドには前述のような容量の問題のほか、セキュリティーに不安を感じて使うのにちゅうちょするという人もいるだろう。

次回はこうした部分に不安を感じるユーザー向けに、ファイル同期サービスのような機能を、パソコンと外付けHDDなどの組み合わせで利用できる同期ツールを紹介しよう。また、パソコンがきちんと機能している状態をそのまま保存し、起動しなくなったらその状態に置き換えることで復旧する「システムバックアップ」についても解説する。

竹内亮介(たけうち・りょうすけ)
 1970年栃木県生まれ、茨城大学卒。毎日コミュニケーションズ、日経ホーム出版社、日経BP社などを経てフリーランスライターとして独立。モバイルノートパソコン、情報機器、デジタル家電を中心にIT製品・サービスを幅広く取材し、専門誌などに執筆している。

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