2018年7月23日(月)

すし詰めの免震棟、異様な雰囲気 福島第2原発で何が起きたか(下)
編集委員 滝 順一

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2013/5/4付
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 東京電力・福島第2原子力発電所は東日本大震災の津波によって、原子炉の熱を取り除く機能を一時的に失った。しかし冷却装置の緊急復旧により被災後5日目(2011年3月15日)までに全号機で冷温停止を達成した。11年12月末には「原子炉緊急事態宣言」を解除し本格的な復旧作業に着手、今月末には被災したすべての設備類を恒久的な設備に交換し整備を終わる。今後、廃炉になるのか運転再開があるのか見通せないが、それまで安定した状態を維持できる体制を固めた。

■福島第1で爆発、空間放射線量高まる

 被災当日の深夜、復旧班の40人が岸壁沿いに8棟ある海水熱交換器建屋を調べに行った。炉心の核燃料が出す熱を取り除く残留熱除去系(RHR)について1、2、4号機ともB系(各号機にA、B2系統ある)を優先的に復旧させる方針を決めた。

全長900メートルの仮設ケーブルを人海戦術で1、2号機の熱交換器建屋まで引いた=東京電力提供

全長900メートルの仮設ケーブルを人海戦術で1、2号機の熱交換器建屋まで引いた=東京電力提供

 なぜか3号機の南側の建屋だけは津波によって扉が押し破られず、1階にあったポンプやモーター、配電盤は無事だった。このため3号機は冷却に苦心惨たんすることはなかった。なぜ助かったのかはわからない。一方、3号機では海水熱交換器建屋のマンホールから地下に入った海水が地下坑(トレンチ)を通じてタービン建屋の地下に浸入していた。トレンチを仕切る止水壁が3号機だけ弱かったのが原因だと考えられている。

 復旧に必要な交換用モーターやケーブル、電源車などは12日には到着した。モーターのひとつは三重県にある東芝の工場から自衛隊のヘリコプターが運んでくれた。

 増田尚宏所長らは外部電源が来ている廃棄物処理建屋の電源盤から1、2号機の熱交換器建屋までケーブルを引くことを決めた。このプランに従い、13日はまる一日かけて、東電と協力会社社員約200人が重量のあるケーブルを手作業で約900メートルにわたって引いた。また電源車2台を現場近くに配置し移動用変圧器を介し、各号機の熱交換器建屋に電気を供給する態勢を整えた。生き残った3号機の熱交換器建屋の電源も活用した。

 その結果、14日午前1時過ぎには1号機でRHRが稼働、続いて2、4号機でも復旧し、原子炉の除熱が可能になった。こうして福島第2の原子炉は最悪の事態を脱したのだが、福島の緊急事態はまだ始まったばかりだった。

 14日午前11時1分に福島第1原発3号機が爆発し、ほどなく福島第2でも空間放射線量が高まった。全員が免震重要棟に避難した。

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