韓国への大規模サイバー攻撃の教訓 迫る本当の危機
ラック 専務理事 西本 逸郎

(4/4ページ)
2013/4/5 7:00
保存
共有
印刷
その他

演習だとしたら狙いは何だろうか。北朝鮮のミサイル発射や核実験の強行に対しては、国連安全保障理事会は北朝鮮を非難し制裁拡大を議決している。ギリギリの瀬戸際外交で自分自身を追い込み身動きが取れなくなっている中での演習だとしたら、誰かに何かを告げることが大きな目的のはずである。

何を伝えたいのだろうか。

全くの臆測だが、こういう破壊活動ができるという事実そのものを伝えたいのではないだろうか。時限爆弾のボタンを実際に「押した」事実と、ほかにも「時限爆弾ボタンを持っている」というアピールである。自分たちを応援する国へのひそかなアピールも含まれているかもしれない。つまり、ミサイル発射実験や核実験と同じ威嚇という位置づけの可能性である。

そして、それを誰に対して伝えたいのであろうか。

韓国に対してではないだろう。なぜならば、韓国内のスパイシステムを失うことにちゅうちょしていないからである。中国やロシアに対してでもないだろう。

可能性の一つとして考えられるのは、もちろん米国に対してだろう。もしかしたら、シナリオはできているのかもしれない。ただ、そうだとしても、そのボタンをあからさまに押すことはないだろう。こうしたことを少しずつ繰り返し、強気の「交渉」を続けていくのではないだろうか。

■日本への攻撃は?

ここまで勝手な想像で可能性を書いてみた。では、日本はどうだろう。

もし「強気の交渉」の手段をアピールするとすれば、日本は格好の舞台である。日本を支配することが目的でなくとも「破壊的なサイバーテロ」が発生する可能性があるということだ。もっとも日本に対しては、破壊活動を仕掛けるよりも、スパイシステムを効率よく活用して気軽に外貨を獲得した方が得策という皮肉な見方もある。もしかすると、実はもう潜入されているかもしれない。

とはいえ、私たちが実施すべきことは、いつ来てもおかしくない事態を経営者が想定することである。具体的には、既に潜んでいることを前提としたあぶり出しと効率のよい予防策を併せて実施し、常に「いざ」に備えておくことが重要である。

西本 逸郎(にしもと・いつろう) ラック セキュリティ技術統括 専務理事。北九州市出身。1986年ラック入社。2000年よりサイバーセキュリティー分野にて、新たな脅威に取り組んでいる。日本スマートフォンセキュリティ協会 事務局長、セキュリティ・キャンプ実施協議会 事務局長などを兼務。著書は「国・企業・メディアが決して語らないサイバー戦争の真実」(中経出版)
  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]