2018年8月15日(水)

ゲームの未来を変えるか 注目の仮想現実デバイス
ジャーナリスト 新 清士

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2013/8/4 7:00
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 ゲーム業界で今、脚光を浴びている新型デバイスがある。バーチャルリアリティー(仮想現実)を手軽に実現する米オキュラスVR(カリフォルニア州)の「オキュラスリフト」だ。頭に装着して自分の両目を覆うヘッドマウントディスプレーで、ゲームなどに使うと臨場感のある3D映像が楽しめる。映像世界への圧倒的な没入感が大きな魅力だ。今までにない新たな魅力をゲームにもたらす存在になれるのか。筆者のデモ体験を交えて検証した。

■資金を募集、目標の10倍近い金額に

オキュラスVRの公式ページ。画像の人物が顔に着けているのが「オキュラスリフト」

オキュラスVRの公式ページ。画像の人物が顔に着けているのが「オキュラスリフト」

 オキュラスリフトをパソコンに接続して頭にかぶり、対応した3D(3次元)映像のソフトを再生すると、目の前にリアルで臨場感のある3Dの立体映像の世界が広がる。ヘッドホンから聞こえる音声により映像の中にいるという感覚が一段と高まる。今までの3D映像でつくられた既存のゲームを比較的容易に対応させられる点も特長だ。

 オキュラスリフトが業界関係者の注目を集めるきっかけは2012年6月に米ロサンゼルスで開かれたゲーム展示会「E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)」への出展だった。これまでのゲームにはない臨場感のある3D映像が体験できるとして大きな話題になった。その後、小口で投資資金を集めるクラウドファンディングのサービス「キックスターター」を活用して製品化に乗り出した。

 キックスターターは資金募集時に目標金額を決め、一定期間内に一般の人から資金を集める仕組み。オキュラスVRは昨年8月1日から9月1日までの1カ月を募集期間とし、目標金額を25万ドルと設定したが、実際には目標の10倍近い243万ドルもの資金が集まった。

 投資金額は完全な募金といえる10ドル、Tシャツがもらえる35ドルなど様々な設定がされ、最高は5000ドル。このうち最も多くの人数を集めたのが300ドルの投資で5640口だった。300ドル以上投資すると、初期バージョンのオキュラスリフトと3D立体視に対応した人気ゲームを手に入れる権利が与えられるという特典が付いていたためだ。

オキュラスVRがキックスターターで資金募集を行ったページ。画像は創業者のパーマー・ラッキー氏

オキュラスVRがキックスターターで資金募集を行ったページ。画像は創業者のパーマー・ラッキー氏

 こうして、南カリフォルニア大学でバーチャルリアリティーを実現するハードウエアを研究してきた20歳の若き起業家パーマ・ラッキー氏が誕生した。今年6月にはベンチャーキャピタルから1600万ドルの資金を受けるなど、投資家もオキュラスリフトに熱い視線を注いでいる。

■過去のゲームにない圧倒的な没入感

 筆者は5月にシンガポールで開かれたゲーム商談会「カジュアルコネクトアジア」でオキュラスリフトを実際に体験し、そのすごさに驚いてしまった。マレーシアの大学生が出展していたゲームのプロトタイプを使ったデモンストレーションだった。

 デモは、建物の中で銃を持って歩き回っている敵に見つからないよう背後から近づき、敵を倒しながら通路を進んでいくという内容だ。頭にオキュラスリフトをセットすると、目の前にはリアルな3D立体視の空間が広がり、周囲の奥行きがはっきりと感じられる。首を動かすと、それに合わせて画面も同じ方向の映像になる。上を向くと天井、下を見ると床が見える。デモで印象に残ったのは、映像世界への圧倒的な没入感だった。

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