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さだまさしのDNAを見た!

TSUKEMEN、花井悠希のバイオリン新譜

バイオリン2人とピアノの3人組「TSUKEMEN(ツケメン)」が3月24日にキングレコードから発売したメジャーデビュー盤「BASARA」、東京音楽大学4年在学中の花井悠希(バイオリン)が4月21日にコロムビアミュージックエンタテインメントから発売したデビュー盤「主人公~さだまさしクラシックス」。ちょっと見には大して関係なさそうな2つの新譜をたて続けに試聴した。アコースティック(生)音で真っ向勝負をかける表現意欲がキラキラ輝き、一対の企画のように響いたが、実はもっと大きなつながりが潜んでいた……。

TSUKEMENは、音大を卒業して2~3年のTAIRIKU(バイオリン)、KENTA(同)、SUGURU(ピアノ)からなる。2008年12月に東京・サントリーホールでデビュー。09年1月にインディーズ(独立系)レーベルからデビュー盤を発表した。クラシックの名曲、映画音楽、ジャズやポップスのスタンダード、オリジナルなど多彩な曲目に独自のアレンジを施し、確かな技のアンサンブルで聴かせる。

最初は「父親の名前を利用したくない」という本人の希望で伏せていたが、TAIRIKUこと佐田大陸の父はシンガーソングライターの大家、さだまさし。さだ自身、3歳でバイオリンを始め、小学校卒業後、バイオリン修行のために単身で長崎から東京へ移った。「おまえたち、イケメンには少し足りないからツケメンにしたら?」とユニット名を提案したのも、さだという。父がバイオリンに託した思いが今、息子によって新たな花を咲かせた。

一方の花井にとって、さだ作品は「実家で両親が聴いていた」くらいの印象しかなかった。コロムビアがデビュー盤をクラシック小品集「光の風」と「さだクラシックス」の2本立てと決めた後、昨年12月にさだのライブを訪ねてあいさつしたのが初対面。「改めて聴くと、知っている旋律がいくつもあった」。CDには特にバイオリンで弾きやすい作品を選んだが「『雨やどり』などは語りが基調の曲なので、詩を思い浮かべながら録音した」という。

フォークデュオ「グレープ」時代の大ヒット曲「精霊流し」(1974年)を歌う際も、さだはバイオリンを奏でていた。花井は「語り」という言葉を使ったが、さだの音楽にはピアノで発想するシンガーソングライターの強いリズムや和声感が薄い代わり、3歳から身体に密着してきた弦楽器に特有のフレーズの息遣い、語りの間合いが備わっている。花井の「歌抜き」CDで、さだのルーツに触れた気がした。

TSUKEMEN3人も花井も東京の音大へ進み、国内の音楽コンクール入賞歴もあるが、海外での独奏実績や国際コンクール優勝歴はない。4年在学中の花井も含め、いわば"新卒"の形で世に出た。しかもチャイコフスキーの協奏曲や「ツィゴイネルワイゼン」ではない、独自の音楽。指導教員の1人は「今までとは全く違うキャリアの作り方に注目したい」と、好意的に受け止める。TSUKEMENは「父の曲」を録音したわけではないが、花井ともどもフレッシュな音のうちに、さだのDNAが流れているのは面白い。

(編集委員 池田卓夫)

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