沖縄防衛局長を更迭へ 辺野古アセスで不適切発言

沖縄防衛局の田中聡局長が28日夜、報道陣との非公式懇談で、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に必要な環境影響評価(アセスメント)を沖縄県に提出するかどうかを、女性への性的暴行に例えて不適切な発言をした。政府は事態を問題視しており、田中局長を更迭する方針だ。
田中局長は、一川保夫防衛相が評価書の年内提出方針を明言しない理由を報道陣から質問されたのに対し発言。「犯す前に犯しますよとは言わない」などと語った。29日になってこの発言が伝わり沖縄では反発が広がっている。
藤村修官房長官と防衛相は29日午前、国会内で対応を協議。この後、藤村長官は記者会見で「事実なら看過できない」と強い不快感を示した。防衛相は同日の参院外交防衛委員会で「心からおわびする。事実関係を踏まえ、厳しい対応をしたい」と述べた。田中局長は同日午後、防衛省に赴き、防衛相に事情を説明する。
与野党も批判。国民新党の下地幹郎幹事長は「防衛相は早めに決断してほしい」と更迭を求めた。自民党の石原伸晃幹事長は「事実なら罷免に値する。防衛相の責任だ」と語った。
防衛省は日米政府が合意している普天間基地の辺野古移設に向け、環境影響評価書を年内に提出する方針。防衛相は今月12日の仲井真弘多知事との会談で評価書について「沖縄の理解を得て進める」と伝え、提出準備を進めていると説明したが、会談後の記者会見では「年内提出が目標だが期限を切っているわけではない」と述べた。
田中局長を更迭するのは、事態を放置すれば沖縄との信頼関係構築が難しくなると判断したため。政府は評価書提出などは従来方針通り進める考えだが、現地の担当局長の更迭は普天間移設を重視する野田政権にとって打撃だ。
田中局長は防衛省地方協力企画課長などを経て8月15日付で沖縄防衛局長に就任した。