反日デモ、ひとまず沈静 日本企業の再開相次ぐ
日本政府による沖縄県尖閣諸島の国有化に反発する中国の反日デモは19日、中国政府が抑制に動いて社会混乱につながりかねない大規模デモはひとまず沈静化に向かった。現地の工場や店舗を再開する日本企業の動きも相次いだ。ただ、日本との経済交流を停止する動きは拡大。尖閣諸島周辺を航行する中国の監視船も18日より増えて延べ16隻となるなど中国側の対日強硬姿勢は依然、ゆるんではいない。
19日には北京市公安当局が一般市民に混乱収拾を呼び掛けたほか、広東省広州市の公安当局は日本車などを壊した容疑者の拘束を発表。違法行為への処罰姿勢を明示したことで、日系企業襲撃にまで過激化した大規模デモは収束に向かいそうだ。
そうした中、日本企業ではホンダが20日、中国に5つある四輪車工場のうち3工場の操業を再開する。マツダは江蘇省南京にある合弁工場の操業を18日から4日間停止する予定だったが、現地で被害が出ていないため19日に再開した。19日まで休んだキヤノンの工場も20日には再稼働する。
18日に30店が休業したイオンはデモ隊の乱入で破壊された1店などを除き大半で営業を再開。セブン&アイ・ホールディングスは18日に休業した店舗すべてが19日午後までに営業再開した。一方、トヨタ自動車は前日に続き19日も現地の一部工場を臨時休業にした。吉野家は19日も10店以上が休業を続けている。
ただ、上海市で20日から予定していた環境関連のイベントは開催延期を決定。商務省の沈丹陽報道官は19日「両国の経済貿易関係に悪影響が生じるだろう。完全に日本側に責任がある」と強調。被害を受けた日系企業への賠償にも明確な回答を避けた。
尖閣諸島周辺では19日、中国の漁業監視船が領海の外側にある接続水域に新たに入ったのを海上保安庁が確認した。18日から周辺にいる監視船とあわせて延べ16隻が接続水域の出入りを繰り返した。19日午後10時半現在、漁業監視船4隻が接続水域内を航行。海保の警告に、監視船は「本船は中国の管轄する海域で公務を遂行している」などと無線で応答している。一方、海洋監視船6隻は現場海域を離れた。
尖閣周辺で中国の漁船団は確認されていないもようだ。中国の通信社、中国新聞社(電子版)は19日、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)から約230キロの海域で700隻余り、約110キロの海域で23隻の漁船が操業している」と報じた。「約230キロの海域」は浙江省と尖閣のほぼ中間。
海保は尖閣周辺に通常より多くの巡視船を配置し警備を強化している。
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