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ミセス・ワタナベの帰還
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2013/4/8 3:30
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為替相場に大きな影響を与える個人投資家がいる。その名は「ミセス・ワタナベ」。少ない資金で多額の外貨売買ができる外国為替証拠金(FX)取引の一大勢力だ。規制の影響で一時低迷したが、アベノミクスによる円安を背景に再び存在感を高めている。その実像は…。

元為替ディーラーによるセミナー終了後、会場を出る個人投資家ら。40席があっという間に埋まり、熱心な質問が飛び交った(東京都港区の外為どっとコム)

元為替ディーラーによるセミナー終了後、会場を出る個人投資家ら。40席があっという間に埋まり、熱心な質問が飛び交った(東京都港区の外為どっとコム)

ロンドン市場が開く夕食の支度時、台所で相場の流れをチェックする奈那子さん。一晩で300万円を失ったサブプライム危機以降、取引は慎重になった(大阪府内)

ロンドン市場が開く夕食の支度時、台所で相場の流れをチェックする奈那子さん。一晩で300万円を失ったサブプライム危機以降、取引は慎重になった(大阪府内)

さいたま市郊外に立つプレハブ小屋。2年前に気の合う投資仲間が集まって、こしらえた即席のディーリングルームだ

さいたま市郊外に立つプレハブ小屋。2年前に気の合う投資仲間が集まって、こしらえた即席のディーリングルームだ

中では男性3人が為替に関する情報を共有し、テクニックを磨き合っていた。「FX取引は普段、孤独。みんなで楽しくやる方がいい」と浅見保さん(左)

中では男性3人が為替に関する情報を共有し、テクニックを磨き合っていた。「FX取引は普段、孤独。みんなで楽しくやる方がいい」と浅見保さん(左)

3人のひとり、尾沢文平さんは昨年末に、六本木ヒルズの一室に事務所を構えた。介護関連企業の資金運用を任されている。「六本木でオフィスのフロア借りを目指す」(東京都港区)

3人のひとり、尾沢文平さんは昨年末に、六本木ヒルズの一室に事務所を構えた。介護関連企業の資金運用を任されている。「六本木でオフィスのフロア借りを目指す」(東京都港区)

「あら、きょうはやっぱり円安に動きそうね」。大阪府在住の主婦、奈那子さん(ハンドルネーム、44)は夕食の支度をしながらつぶやいた。視線の先には為替レートを映すタブレット(多機能携帯端末)。相場が円高に振れると外貨を買い、円安になったら売る。こんな取引で今年に入り200万円弱稼いだ。

今でこそ上級者だが、金融危機が起きた2007年の円高で300万円の証拠金を吹き飛ばした。その後、証券会社などのセミナーや実際の取引を通じて相場観やテクニックを身につけ、最近の円安で完全復活。「当時はイケイケで外貨を買うばかりだったけど、今は相場が上がればこまめに利益確定し、下がれば押し目を拾う」と話す。

さいたま市内のプレハブ小屋にディーリングルームを造ったのは、自営業の浅見保さん(45)。交流サイトを通じて知り合った仲間を集め、時には徹夜で取引に熱中する。「パソコン1台あれば気軽にできるのがFXの魅力。仕事そっちのけでハマってます」

安倍政権の経済政策「アベノミクス」による円安で、ミセス・ワタナベと呼ばれるFX投資家が元気さを増している。金融先物取引業協会によると、店頭取引の円建て取引高は13年1月に345兆円と前月比約2倍に膨張。2月も366兆円と同6%増えた。

外為どっとコム総合研究所が調査をもとに浮かび上がらせたFX投資家の平均像は「大都市圏に住む働き盛りの30~40歳代の男女」。仕事や家事が一段落して就寝までの間、50万円未満の証拠金を目いっぱい膨らませて取引している人が多いという。最大25倍までレバレッジ(証拠金倍率)を掛けられるのがFXの特徴。上級者はこれを秒単位、分単位で高速回転させる。

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