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女性上司とどう向き合う? 上司と部下、互いの本音

異業種7人座談会

職場でとかく衝突しがちに思われる女性上司と女性部下。女性管理職が増えるにしたがって、上司と部下の人間関係にも変化が表れているようだ。業種の異なる部長3人と部下4人に集まってもらい、思いを聞いた。

――女性上司の下でやりにくい、と思うことは。

部下A(アパレル) 私の職場の上司は昨日と今日で言うことが違い、仕事の指示が気分で変わる。こちらが忙しいときに自分の都合でこまごま説明を求めてくる。「なんでこんなことを言われなければならないのか」と思いますし、みんな困っています。

座談会に参加した部下4人

部下B(IT) 確かに女性上司はチェックが厳しいかもしれない。顧客に渡す営業資料で、細かいニュアンスの所を何回も指摘される。前任の男性上司がすごく適当だったので、余計細かいなあと感じる。しかも「こう直せ」と言わないから余計考えてしまい、「はっきり言って」と思うこともあります。

上司A(電機) 管理職側としては最近は性別より、パーソナリティーの違いの方が大きいとは思いますが、女性上司の方が厳しめに見るというのはある。女性活用を言われるからなのか、男性上司が甘くなっている。男性部下には間違った対応をぴしっと指摘するのに、女性には「いいよいいよ」と緩くなる。女性上司は物事をフラットに見て、女性にも経験を積ませようとあえて厳しく言うところがある。それを「女性だから」と見られてしまうのは不幸ですね。

上司C(エネルギー) 私は上司が女性だったときに一番伸びた。「いい、悪い」を相当細かく言われたため、放任型の男性上司の時より考える機会が格段に増えたからだと思っています。

――細かさは武器にもなる。

部下B(IT) 確かに細かいところまで言われると、つらい面もあるがうれしかったりする。

座談会に参加した上司3人

上司A(電機) 男社会では男性たちが裏で話しているような評価が、本人には伝わらない。若手に嫌われたくない人が多いのかもしれないが、それはちょっと危険だなと思っている。

上司B(人材派遣) 男性上司と自分の違いで思うことですが、男性上司は夢を語り「あっちに向かって行くぞ」というのが好きだと思う。男性はその一言で走り出すけど、女性はそれだけでは行かない。ステキなものでも遠くにありすぎるとダメ。目標を少し身近なところまで持ってきて「行ける?」と聞き、行けなかったら背中を押してやったり登り方を教えたり。女性は細やかに見てあげた方が、やる気になって伸びると思う。私はそれを面倒だとは思いません。

部下B(IT) その通り。大きな目標を掲げて「行け」と言われても「何をしたらいいんですか」と思ってしまう。

アパレル(40才)

部下A(アパレル) でも、あまりこまごまケアされるのも……。もちろん自分の行動が目標からずれたらきちんと指摘してほしい、後になって「ほら見なさい」と言わないで。

部下D(電機) それは男性上司にありがち。仕事の任せ方が大ざっぱで、ゴールに向かって段階的にこなすべきことを教えない。一から十まですべて教わるのは自分のためにならないから、微妙なバランスが必要だとは思うけど、言ってくれなきゃわからないことを教えられずに失敗すると、こっちこそ「ほら見なさい」と言いたい。

――女性部下の育て方で気をつけたい点は。

上司A(電機) 自分が責任を取れるなら、部下に任せて失敗してもいいと思う上司は多いはずです。ただ、女性上司はまだ育っている過程。男性の方が場数を踏んでいる分、腹のくくり方が違う。逆に女性の方が腹が据わっている場合もある。男性は会社にしがみつくから、トラディショナルな仕事じゃないと怖くてできないのではないでしょうか。

IT(26才)

上司B(人材派遣) 女性上司は"お母さん系"が多い。転んでも「大丈夫、もう1回頑張ってみよう」と走らせるのがうまい。

部下C(化学) 育休を経て自分も課長に上がり、女性上司からこまごま指導されることはなくなりましたが、今のステージでの課題や子どもの年齢に応じた問題が次々出てきます。例えば子どもが小学生になれば学童保育となり、預かってもらえる時間が保育園とは変わる。子育てを経験した女性上司だと、それを口に出さなくても気づいてサポートしてくれる。いい意味での細やかさを実感しています。

上司C(エネルギー) 女性は子育てなどで予定変更を余儀なくされるので、その都度仕事の方向性を指示してあげないと。一方、男性には長いレンジで仕事を任せる。任せ方が違ってくるかな。

上司A(電機) ただ、女性のキャリアは長いスパンで考えてあげる。例えばエンジニアは10~15年でやっと一人前だから出産して1年休むぐらい何とかなる。今期の営業をどうするかと目先の数字達成に追われる男性と違って、10年単位で見ればいい。そういう視点を持たせることは、女性部下には大事ですね。

上司C(エネルギー) 確かに育成に関してはそうですね。本人の方が「今これができないとダメなのでは」と焦るケースは多いから。

――日本経済新聞社がネット調査会社のマクロミルを通じて働く男女3296人に聞いたところ、「女性上司の下だと働きにくい、やる気が薄れる」という男女は少数派で6%だった。その理由をみると「好き嫌いで部下を評価しがちだから」というのが多かった。

メーカー(27才)

部下A(アパレル) 逆だと思う。男性上司は「なぜ?」と聞いてくる女性が苦手だけど、女性上司は「好きでも嫌いでも、とにかくやらなきゃいけないのよ」という感じ。

部下D(電機) 好き嫌いで評価することが多いのは男性でしょう。女性は細かいスパンで仕事を見るのでその時々の評価をすることが、「好き嫌い」ととらえられているのかも。

部下C(化学) 私は女性上司からの方が納得のいく評価をもらえていると思う。正当に評価しようとしていて、会社にとってポジティブな結果にならなかったときには評価が下がる。

――男社会で育った女性上司をどう思う?

上司B(人材派遣) 女性の多い会社でやってきた人とは違う気がします。子育て経験者でも、「自分が乗り越えてきたから当たり前」という感じで、より厳しい。

上司A(電機) 雇用機会均等法以前の女性の中には「子育て支援策を、こんなに充実させる必要はない」と言う人もいます。夜8時以降の残業はトイレに隠れてやった、などという経験をしているから「甘えさせちゃいけない」という思いがあるようで……。

人材派遣(45才)

上司C(エネルギー) 男社会でうまくいっている女性には、いい男性上司がついている。私にいろいろな仕事をさせてくれた女性上司もそうだった。「仕事をやらせよう、評価しよう、それをいろんな人に伝えよう」という上司じゃないと、女性は埋没してしまう。

――米国ではいまだに女性部下の足を引っ張る、「女王蜂」上司と呼ばれる女性たちがいるようだ。

上司A(電機) 米国で働いたこともあるからわかるのですが、男性でもしんどいほどの競争社会。そこで生き残るのは並大抵では無理。当然足を引っ張る人も出てくるのだろう。その点、日本の方が健全だと思う。「既にできる人を採用する」米国とは違い、「できる人に育成していく」のが基本。日本のそのやり方の方が女性のキャリアはつくりやすい。今、能力次第で昇っていける女性たちが育っている。あとは上の男性層がドッと抜けてくれれば。

部下C(化学) 私は女性上司に「こんなに育ててくれてありがとう」という思いでいっぱい。

上司A(電機) 私たちは今の時代で働いているあなたたちを羨ましいと思う。その気持ちをわかってほしい。

(聞き手は福沢淳子)

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