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年金、受給前に増やす 元取るまで何年?勘案

 年金は老後の生活を支える柱となる。その受取額を少しでも増やすにはどうしたらいいか。今年成立した「年金確保支援法」で、受取額を増やす選択肢が少し広がった。基本は年金を受給し始める前に準備すること。どんな方法があるのか知っておこう。

年金は高齢者の暮らしに欠かせない。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、65歳以上の世帯年収の7割を公的年金が占める。年金の中核は、原則65歳から受け取る老齢基礎年金。2011年度は年78万8900円だ。

年金を満額受け取るには、基本的に20歳から40年間、年金保険料を納め続ける必要がある。会社員は勤務先を通じて厚生年金保険料を支払う。国民年金だけに加入する自営業者などは自分で支払いの手続きをする。

年金を増やす方法は主に5通りある。それぞれどんな人が利用でき、どれくらい年金額が増えるのか見てみよう。

国民年金基金・個人型確定拠出年金に加入する(自営業者など)

企業型確定拠出年金の掛け金を増やす

(会社員)

年金を大きく増やしたいなら、国民年金基金や確定拠出年金に加入するのが近道だ。

国民年金基金は国民年金に上乗せして加入する。例えば30歳の誕生月に最低額で1口加入すると、毎月約8000円の掛け金を払い続ければ、65歳以降の年金が死亡するまで月2万円増える。掛け金が月6万8000円までの範囲で何口も加入できる。

確定拠出年金は自分で投資信託など運用先を決め運用次第で受取額が変わる仕組み。企業型と個人型がある。企業型確定拠出年金を導入した会社に勤めている人は、年金確保支援法により、12年1月から労使が合意すれば掛け金を増やせる。企業が払う掛け金に加え、自分で最大月2万5500円まで積み増すことができるためだ。将来は最長で64歳まで掛け金を払える。

国民年金基金と確定拠出年金は節税効果も大きい。掛け金が全額、所得控除の対象になり所得税住民税が軽減される。国民年金基金と主に自営業者らが利用できる個人型確定拠出年金は最大で合計年82万円弱、課税所得が減る。

国民年金の付加年金

専門家が「受け取る年金の増加分が払った保険料を上回り、元を取りやすい」と評価するのが、国民年金の「付加年金」だ。国民年金保険料に月400円の付加保険料を上乗せして払うと、年額で「払った月数×200円」の付加年金を受け取れる。2年もらえば元が取れる。ただし、会社員やその妻の専業主婦は利用できない。国民年金基金の加入者は掛け金のなかに付加年金の保険料が入っている扱いだ。

例えば付加保険料を10年払うと、65歳以降の老齢年金は2万4000円(月2000円)、40年払うと9万6000円(月8000円)増える。社会保険労務士の安田洋子さんは「会社員の夫が定年退職すると、まだ60歳にならない専業主婦の妻は国民年金保険料を払うので、付加年金を考えてみては」と話す。

国民年金の任意加入

国民年金保険料を払うのは普通、59歳まで。だが年金保険料を払った期間が足りず満額を受け取れない人は、65歳になる直前まで保険料を払い、受け取る年金を増やせる。「国民年金の任意加入」という。60歳以降も厚生年金に加入して働く人は対象外だ。

任意加入で払う金額を、65歳から受け取る年金の増加分が上回るのはいつか。11年度の金額で計算すると74.1歳だ。それより長生きすれば上回る金額が増えていく。「平均寿命まで生きれば任意加入するほうが有利」(特定社会保険労務士の大須賀信敬さん)といえる。

とはいえ5年間任意加入すると支払う保険料は今の金額では約90万円になる。安田さんは「受け取る額が払う額を上回る前に亡くなるリスクもある。心配なら任意加入せずに貯金し、病気の治療費などに備えるのも一案では」と話す。保険料は1年分まとめて口座振替で支払うと現状では年約4000円安くなり、元を取るまでが少し短くなる。

国民年金保険料の追納

家計が苦しいなどで国民年金保険料を払えない人は、申請して認められれば免除され、年金保険料を全額払わなかった期間の年金額は半額(09年3月分までは3分の1)になる。申請せず、免除でなく「未納」となった期間分の年金額はまるまるなくなる。

ただ後から保険料を支払うことは可能だ。免除期間の保険料は過去10年分を追納できる。未納期間は本来、過去2年分しか納められないが、年金確保支援法は3年間の時限措置として過去10年分を納められるようにした。新制度は12年秋までに始まる予定だ。

昔の免除・未納分は、納める保険料が加算される。免除分は昔に遡るほど大きく加算され、10年前の分の保険料は現状では元の額より月2000円程度高くなる。未納分の計算方法はこれから決める。

大須賀さんは「老後資金の準備は公的年金制度をとことん使うのが第一歩。増やせる手段を徹底活用しよう」と助言する。(大賀智子)

[日本経済新聞朝刊2011年10月26日付]

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