定年後 年金減らさず働くには? 勤務条件や形態に工夫 ファイナンシャルプランナー・和泉昭子氏

2012/5/18 7:00
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60歳定年を迎えるにあたり、会社に再雇用制度があります。60歳以降の賃金次第で、年金が減らされるケースもあると聞きました。どのような働き方をしたら年金の減額を抑えつつ、ある程度の収入を確保できますか。(神奈川県、男性、59歳)

年金は働きながら受け取ることができますが、注意点があります。60歳以降も働いて一定以上の賃金・賞与をもらうと、老齢厚生年金の一部または全額がもらえなくなる場合があります。これを在職老齢年金制度といいます。65歳未満で年金が減額されるのは、老齢厚生年金の月額(基本月額)と賃金(標準報酬月額)、1年間の賞与(標準賞与額)の12分の1の合計が28万円を超えた場合です。

ただ、60歳以降の賃金が定年時の75%未満に下がると、雇用保険から高年齢雇用継続給付をもらえます。賃金が60歳時の61%以下に下がれば賃金の15%分が支給され、61%超75%未満ならば低下率に応じて15%未満の額が65歳に達する月まで支給されます。賃金と在職老齢年金、給付金の3つが収入となります。

例えば、60歳時の賃金が月40万円の人が定年後、同20万円で再雇用されたケースを考えてみましょう。再雇用後の賃金は60歳時の50%なので、高年齢雇用継続給付は20万円の15%、3万円です。

ただし、在職老齢年金と高年齢雇用継続給付を同時に受給する場合、在職老齢年金から再雇用後の賃金の最高6%にあたる額が減らされます。仮に一部減額後の年金が9万円なら、さらに1万2000円引かれて7万8000円となり、合計で月30万8000円になります。

年金が減らされるのは厚生年金に加入して働く場合に限られます。減額を避けるなら働き方を工夫しましょう。

厚生年金への加入は正社員の4分の3以上の勤務が条件です。正社員の所定労働時間が週40時間、月20日なら、週30時間以上、月15日以上働く場合が該当します。週20時間以上30時間未満のパート勤務なら年金は減らされず、雇用保険に加入して高年齢雇用継続給付をもらえます。

個人事業主として仕事を請け負う形で働く方法もあります。雇用保険に加入しないため高年齢雇用継続給付は受け取れませんが、年金の減額は免れることができます。

和泉昭子(いずみ・あきこ) 東京都生まれ。横浜国立大学教育学部卒業。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了(ファイナンスMBA)。出版社、放送局を経て、フリーのキャスターに転身。95年にCFP取得。現在は生活経済ジャーナリスト、ファイナンシャルプランナーとして、メディア出演や講演活動で幅広く情報発信。厚生労働省の提言型政策仕分けチームメンバー、日本年金機構運営評議会委員などを務める。お金に関する著書多数。株式会社プラチナ・コンシェルジュ代表取締役。

[日本経済新聞朝刊2012年5月16日付]

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