2019年1月19日(土)

中部の「鉄源」 発展の礎 新日鉄・名古屋製鉄所
工場再光 中部ものづくりの現場 1

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2010/10/11付
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当初、富士製鉄の一事業所とせず、中部経済界との共同出資会社「東海製鉄」としたのは地元との緊密な関係を明確にするため。中部の主要製造業をはじめ電力やガス、銀行、商社、愛知県などの自治体を加えた総勢134者が出資。富士製鉄が51.7%を出資したほかは少数株主とすることで「総意の製鉄所」との意味合いを込めた。

そして60年、建設地の埋め立てに着工。伊勢湾岸に約630万平方メートル(ナゴヤドーム130個分)の用地を整備し、計画立案から高炉稼働までわずか7年で駆け抜けた。当時で総工費7000億円という巨大事業だ。

そのころ中部産業界は自動車生産が本格化し軽工業からの脱皮を目指しており、域内の製鉄所を渇望していた。64年の高炉稼働から現在まで、出荷量の6割が中部向けという状況をみても地元との密着度がうかがえる。高品質な薄鋼板を歩留まりよく生産し続ける技術も、中部の顧客とともに技術革新を続けてきたことで確立されたものだ。

自動車産業支える

中でも自動車産業との関係は深く、自動車各社と共同で鋼材開発を手掛けてきた。「名古屋製鉄所発」の独自技術も多数存在するという。09年には自動車ボディーに最適な素材研究のための自動車衝突試験設備を導入。高機能な薄鋼板の品質向上に弾みをつけた。

ここ10年は廃材のリサイクル技術の確立にも挑んでいる。2000年に廃プラスチックのリサイクル工場棟を建設。愛知県の廃プラスチック処理量の4割に相当する年間2万3000トンを処理し、製鉄所内で熱源として使うほか、関連化学メーカーの原料として再利用する体制を確立した。

名古屋製鉄所の粗鋼生産量は今では稼働当初の約13倍。巨大工場は時代のニーズに適合するように進化してきた。中部経済界によって誘致された域内唯一の一貫製鉄所は高炉稼働から50年を迎えようとしている今も、中部製造業の最上流を担い続けている。

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