2019年1月21日(月)

中部の「鉄源」 発展の礎 新日鉄・名古屋製鉄所
工場再光 中部ものづくりの現場 1

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2010/10/11付
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名古屋港を臨む愛知県東海市。新日本製鉄名古屋製鉄所は南北3キロ、東西2キロの広大な埋め立て地にある。半世紀前に中部経済界が強く望み、新日鉄の前身の富士製鉄が応じて建設された高炉を持つ一貫製鉄所だ。ここで作られた鋼材は自動車や電器、産業機械など様々な製品に姿を変えて世界中に送り出されてきた。中部のものづくり産業の発展をけん引してきた立役者の一人だ。

巨大な「窯」から転炉に銑鉄が流し込まれる(製鋼工場)

巨大な「窯」から転炉に銑鉄が流し込まれる(製鋼工場)

グォーン、グォーン。高さ10メートル、直径8メートルの巨大な鋼鉄の"窯"が轟音(ごうおん)を響かせながら溶けた銑鉄を運ぶ。窯をつるすクレーンが止まると、高さ18メートルの重い扉が開き「転炉」が出現。窯が傾き、燃え盛る銑鉄が流し込まれる。

転炉は炭素分が多く「堅いが、もろい」銑鉄を成分調整し、粘りがあり加工しやすい「鋼」に変えるための設備。転炉がある製鋼工場は鉄鉱石や石炭から銑鉄をつくる高炉と並ぶ製鉄所の心臓部といえる。転炉で生まれた鋼はゆっくり冷やされながら板状の鉄塊となり、引き延ばされ切断されて製品になる。

薄鋼板に強み

多様な鋼材のうち名古屋製鉄所が強みとするのは自動車などに使う薄鋼板だ。粗鋼生産量(2009年度で約600万トン)の8割が薄鋼板向け。この比率は新日鉄の他製鉄所に比べ群を抜く。それは名古屋製鉄所誕生の経緯と関係がある。

名古屋製鉄所の建設が提唱されたのは1957年。当時、中部経済連合会の副会長だった井上五郎中部電力社長は、繊維産業中心だった中部の産業構造を自動車や機械の集積地とする目標を掲げた。その基礎素材としての鉄鋼を安定供給できる製鉄所の誘致を進めた。

中経連は幹部7人で構成する誘致委員会を設置。現在のトヨタ自動車や中部電力、大同特殊鋼、オークマ、岡谷鋼機の社長、会長らが実動部隊となり誘致活動に取り組んだ。鉄鋼メーカーの選定は大同製鋼(現大同特殊鋼)社長だった里村伸二氏が担い、この要請に富士製鉄社長だった永野重雄氏が応じた。

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