県境・国境を越え次代築く 外国人の子、担い手に育成
検証 東三河の実力

2011/6/26付
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ここ数年で「東三河」の名を全国区にしたスポーツチームがある。「浜松・東三河フェニックス」。プロバスケットボールbjリーグのプレーオフを5月22日に制し、2連覇を果たした。実業団チーム「OSGフェニックス」が母体だが、2008年のbjリーグ参入時に「浜松」も入った現在の名称に変えた。

切削工具大手のOSGの本社がある愛知県豊川市を含む東三河と、静岡県浜松市。ホームタウンを2地域に置いているのは、同リーグ16チームではフェニックスだけだ。

■「浜松」名が奏功

観客動員数を増やし、試合運営費を賄う経営体制の確立は、プロ化に必須の条件だ。フェニックスの久野将稔社長は「東三河の商圏だけでは、もとが取れないと判断した」と話す。文化的に東三河は名古屋を中心とする尾張よりも、静岡県湖西市や浜松市など遠州とのつながりが強く、通勤や買い物など人の往来も多い。

「浜松の観客も呼びたい」というチーム名に込めた狙いは的中。快進撃でチケット販売が伸び、11年5月期に黒字化を果たした。熱心なファンという豊橋市の主婦は「チーム設立以来、東三河の一体感を意識する機会が増えた」という。

日本語を勉強するブラジル人家庭の子供(愛知県豊橋市)

日本語を勉強するブラジル人家庭の子供(愛知県豊橋市)

「明日はテストなんだ」「この計算はどうやればいいの?」――。豊橋市北部の県営金田住宅の集会場。放課後になると同住宅で暮らすブラジル人家庭の子どもたちが集まってくる。週1回、中学生ら約10人が宿題や漢字の書き取りの指導を受ける。先生役は特定非営利活動法人(NPO法人)「フロンティアとよはし」のボランティアだ。

■日本語指導に熱

同法人はこれまで、市内5カ所で、主に大人を対象にした日本語教室を開催。子どもに特化した教室は今年度、県国際交流協会の助成を受けて初めて開いた。河村八千子理事長は「なるべく早い段階で日本の常識や勉強の習慣を身につけさせたい」と狙いを話す。

東三河には港湾部や工場で働く外国人が多く、中でもブラジル人が最多。豊橋市の場合、20年前に3千人足らずだった外国人は近年急増し、08年に2万人を超えた。その後、米リーマン・ショックで減ったが、定住者は増えているという。

人口減少を視野に入れると、外国人の子どもたちは地域の将来を担う貴重な存在だ。公立学校でも放課後指導など学習支援の取り組みが進んでいるが、河村理事長は「東三河全体では、まだ不十分。甘やかすことなく支援し、自立を促すことが重要だ」と強調する。

東三河担当の永田清愛知県副知事は「第2東名の12年度以降開通などインフラ整備を控えており、東三河は潜在能力のある地域だ。県境など見えない壁にとらわれず、地の利を生かす方法を考えたい」という。地域の内外で人や産業の結びつきをどう強めていくか。柔軟な発想が次代の東三河をつくる出発点になる。

▼東三河の外国人 東三河の外国人登録者数は2010年末時点で約2万6千人だった。09年末比では2千人(7.0%)減少したが、日系外国人の入国条件を緩和した改正入国管理法が施行された1990年からみると大幅に増え、定住化も進んでいる。
 愛知県全体では20万5千人で09年末比8千人強(4.0%)減。国籍別ではブラジル人が5万9515人(外国人登録者数の29.0%)で最多。豊橋市で暮らすブラジル人は9102人で県内市町村で最も多い。
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