浜岡原発、数日で停止 中部電社長「安全優先貫く」
防潮堤完成までの2年間

2011/5/9付
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中部電力は9日に開いた臨時取締役会で、菅直人首相による浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の停止要請を受け入れることを決めた。稼働中の4~5号機は数日中に運転をやめ、津波対策の防潮堤などが完成するまで2年程度停止する。東京電力管内に続き、トヨタ自動車など製造業の主力工場が集積する中部地区でも夏の電力供給が制約を受ける異例の事態となる。

浜岡原発の全面停止を決め、記者会見する中部電力の水野社長(9日夕)

浜岡原発の全面停止を決め、記者会見する中部電力の水野社長(9日夕)

中部電力の水野明久社長は同日夕、名古屋市内で記者会見し、浜岡原発の全面停止を決めたことについて「首相の要請は極めて重い。原発への不安が高まり、安全最優先の基本を貫くべきだと判断した」と述べた。

数日中に制御棒を燃料棒の間に差し込んで、停止操作を始める。原子炉は1日程度で安全な「冷温停止」状態になる。

首相の要請を受け入れるにあたっては海江田万里経済産業相との間で(1)防潮堤など安全強化策が原子力安全・保安院の評価を得たときは、速やかに運転を再開できる(2)原発停止に伴う追加費用の負担軽減(3)電力安定供給への支援――など5項目を確認。「最大限の支援をする」(海江田経産相)との確約を得たことを明らかにした。

浜岡原発の総出力は361万7000キロワットで、中部電力の発電電力に占める比率は約15%。中部電力は東電への電力融通をとりやめるほか、武豊火力発電所(愛知県武豊町)など休止中の設備を稼働させる方針。

それでも夏の電力のピーク需要に対する供給力の余裕は適正水準とされる8~10%を大きく下回り、2%程度に低下する見通し。「極めて厳しい状況が続く」(水野社長)ため関西電力などから電力融通を求めるほか、企業や家庭に節電を呼び掛ける。

原発停止分をすべて火力発電で代替すると2012年3月期の燃料コストは最大2500億円増加すると試算。4月28日に公表した業績予想(1300億円の営業黒字)を白紙撤回した。新たな予想は示さず、水野社長は「(営業)赤字になる可能性は否定できない」と述べた。電力料金の引き上げは「現時点では考えていない」と語った。

浜岡原発は東海地震の震源域に立地。国の耐震安全基準などはクリアしているが、福島第1原子力発電所の事故をきっかけに津波対策への懸念が浮上。菅直人首相が6日夜、「東海地震に十分耐えられる防潮堤の設置など、中長期の対策を確実に実施することが必要」とし、全面停止を中部電力に要請していた。

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