「空白区」信金王国築く(検証 東三河の実力)
第3部 動脈を磨く(3) 競争見据え、広域連携探る

2011/10/14付
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2013年春の開業に向けて愛知県豊橋市の中心部で建設が進む「豊橋市芸術文化交流施設」。大型ホールを備え、演劇やコンサートなどへの活用を予定する。豊橋市の要請に応じて、県立時習館高校OBで俳優の平田満氏が芸術文化アドバイザーに就任したことでも話題を呼んだ。「東三河の文化イベントの拠点」(豊橋市文化市民部)として期待される。

信用金庫が重要な役割を果たしている(愛知県豊橋市)

■資金40億円賄う

総額40億円の建設資金は信用金庫によるプロジェクトファイナンスで賄う。信金中央金庫が主幹事を務め、豊橋、蒲郡、豊川という東三河の3信用金庫と岡崎信用金庫が参加。当初約2年は事業の進捗に応じて借り入れを増やし、完成後約15年をかけて返済する仕組みだ。豊橋市は「地元企業でもある各信金を通じて必要な資金を調達できることは好ましい」(財務部)としている。

09年の東三河の貯蓄現在高は世帯平均で1964万円。愛知県の1820万円や静岡県の1663万円、全国の1520万円などを上回る優良市場だ。

「名古屋と静岡の間にあり、ほぼ銀行の空白区となっている」(東海財務局理財部)東三河では、こうした金融資産の多くを信金が獲得しているとみられる。豊川信金の日比嘉男理事長は「市内の預貸シェアは5割で圧倒的」と胸を張る。地元で集めた潤沢な資金が「金融インフラ」の主役としての機能を支えている。

■地元で30店以上

愛知県に本店のある名古屋、愛知、中京の3銀行は、名古屋市を中心に店舗を配置。預金量最大の名古屋銀行でも県内105店のうち東三河には4店しかない。「県内は自宅通勤が原則で、人員配置を考えると東三河での多店舗化は難しい」(総合企画部)という。

一方、3信金は東三河で各30店以上を展開。トップが地元商工会議所の会頭・副会頭を務めるなど、地域密着による競争力で「信金王国」を築いてきた。

豊富な個人金融資産に支えられてきた日本市場にも人口減少や将来の預金減少など変化の足音が迫る。競争激化に備え、東三河の信金も広域連携を模索する。遠州(静岡県西部)地域の浜松、磐田、掛川、遠州の各信用金庫と南信州(長野県南部)地域の飯田信用金庫を合わせた「三遠南信」の8信金は、08年から「しんきんサミット」を開催。11年は22日に浜松市で地域活性化策などを話し合う。

中部最大手の岡崎信金の攻勢もあり、東三河域内の市場環境も変化している。豊橋信金の吉川一弘理事長は「戦いの比重が対銀行から信金同士に移ってきた」という。蒲郡信金の竹田知史理事長は「新城市など未開拓地域に人員を投入する」戦略で対抗する。

「M&A支援などの金融サービスを強化するには、単独では限界がある」と名古屋大学大学院の家森信善教授(金融論)は指摘する。三遠南信の「緩やかな連合」(遠州信金の山本繁夫理事)が新たな金融再編につながる可能性もある。

▼東三河の金融資産 総務省の2009年の全国消費実態調査(2人以上の世帯)によると東三河地域の貯蓄現在高は1964万円、年間収入は771万円。いずれも尾張(1691万円、694万円)を上回り、西三河(2124万円、775万円)に届かない。

東三河の3信用金庫の預金残高(11年3月末)は蒲郡信用金庫が9333億円、豊橋信用金庫は6478億円、豊川信用金庫は6039億円。3信金の合計は岡崎信用金庫の2兆4532億円より少ない。3信金とも貸出先は住宅ローンなど個人関連が2~3割、製造業、不動産業、サービス業が各1割超を占める。

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