世界の観光地へ浸透めざす 函館の研究(2)
官民一丸で直接売り込み

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2012/1/6付
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広い石畳の坂の上から港が一望できる八幡坂。函館でも一番人気の撮影スポットでカップルが着物姿で抱き合った。「グッド、グッド」。カメラマンが声をかける。

実はこのカップルは香港から訪れた。函館市が昨年10月、旅費を一部補助し、香港などから3組のカップルを招待。香港では結婚式前に有名観光地で記念撮影し、披露宴の席で紹介する慣習がある。一生の思い出になる婚前旅行を誘致すれば、香港での函館ブランドの浸透につながるという狙いだ。

海と山に囲まれた港町の風情が観光資源に育った

海と山に囲まれた港町の風情が観光資源に育った

今年度は試験的な取り組みだが、来年度以降は官民が連携し、香港の旅行会社に直接売り込む予定だ。

函館市は今、香港、台湾、韓国、中国本土などアジアへのPRに躍起だ。もともと道内他都市に比べ外国人観光客に占めるアジア人の比率が高かった。道内旅行の始点として利用されるケースが多く、台湾からの旅行者もチャーター便では、2010年まで7年連続で函館空港が全国トップを誇る。

■欧米客にも照準

ただ東日本大震災で外国人観光客が激減。函館空港へのアジアからのチャーター便が昨年4月はゼロとなり、関係者の危機感が高まった。観光客を呼び戻すため、市は震災後、各国の旅行会社やメディア関係者などを30回近く招待した。婚前旅行と同様、市が旅費の一部負担することもあったが「話があればすべてに手を挙げた」(池田敏春ブランド推進課長)。その結果、10月にはアジアからのチャーター便は36便と前年同月を上回る水準に回復した。

昨年5月に刊行された仏ミシュラン社のガイドブック「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」での掲載も、外国人客誘致の動きに拍車を掛けた。函館山からの眺望が最上級の三つ星(わざわざ旅行する価値がある)の評価を受け、市内で合計21カ所に星がついた。

地元の観光関係者で作る箱館会は早速、今年3月にパリで開かれる世界最大規模の観光博覧会「ル・モンド・ア・パリ」への出店を計画。欧米客にも照準を合わせる。

五稜郭タワー(函館市)の中野晋常務(箱館会会長)は「欧米客は長期休暇を使い、鉄道などで1つの国をまわる」と説明。15年度に北海道新幹線の新函館(仮称)が開業することで、東京観光などを終えた欧米客が足を延ばす効果を期待する。行政側も中国語、韓国語はもちろん、フランス語のガイドブックまで作製し、受け入れ態勢を整える。

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