2018年12月11日(火)

成長分野探り資源投入 北洋銀行 変革のとき(下)
特区活用、長期的視野で 石井次期頭取に聞く

2012/3/29付
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4月に石井純二副頭取が頭取に昇格し、北洋銀行の新体制がスタートを切る。山積する課題をいかに克服し、成長につなげていくか。石井氏に聞いた。

――2012年度の事業計画のテーマは。

「資金需要が低迷するなか、貸し出し規模をどう確保していくかだ。道内の経済環境は、現行の中期経営計画(11~13年度)の策定時より大きく悪化している。厳しい時代でも高い目標に挑戦する風土を根付かせたい」

■M&A深掘り

――具体策は。

「今まで手を付けていなかった部分に光を当てる。例えばM&A(合併・買収)の専任部署を昨年10月に作ったが、現状では不十分。他部署との連携の弱さが目立つ。手数料収入だけを追求するのではなく、買収資金の融資や売却によって得た資金の運用まで、幅広くフォローする体制が必要だ。取引先の重要課題をどのレベルまで情報共有するかがカギを握る」

――取引先の海外事業展開支援については。

「少子高齢化で道内のパイは間違いなく縮小する。海外に販路を求めていくのは当然の動きだ。ただ海外進出はすぐに結実するものでない。むしろ、その前段階として取引先への情報提供を充実することが重要だ」

「中国や東南アジアなど新興国にグローバル経済の重心が移るなか、決済制度がどうなっているかなど、ビジネス環境の実態を取引先にいち早く伝える。リポート配布のほか、若手経営者向けには中国・大連への視察団も組織した」

――北洋銀の海外拠点充実については。

「関心はあるが、地銀が単独で効率的に運用できるのか疑問だ。メガバンクや商社、保険会社などと組んで合同拠点を設けることも検討したい」

――1月に食や観光などの専任部署を設けた。

「昨年末には、北海道フード・コンプレックス国際戦略総合特区(フード特区)の指定や、北海道新幹線の札幌延伸の政府方針決定が相次いだ。北海道が持つ食や観光の優位性を高めるチャンスととらえ、どうすれば海外需要を取り込めるかを長期的な視野で考えたい。専任部署はまずは地域産業支援部のなかに作ったが、将来は独立した部への昇格も考える」

■支援体制を整理

――コスト削減についての考え方は。

「コスト項目のうち、最も頭を悩ませているのは不良債権処理にかかる信用コストだ。現在、取引先の経営状況が傾いたときには経営改善支援室が動き出す仕組みをとっているが、手遅れとなってしまう場合もある。日常業務として支店の営業担当者が取引先の経営状況をチェックし、本部がどう補助できるのかを整理したい」

――公的資金の分割返済の可能性は。

「まったくの白紙だ。現在、(公的資金返済のメドとする)2017年までを見据えた収益計画を作っている。欧州危機の再燃や日本国債の金利急騰など、たくさんのシナリオを想定して自己資本比率がどうなるのかをシミュレーションしている。いずれのシナリオも、もはや『想定外』とは言えないからだ」

「収益性を追求するなら長期債にも投資したいが、金利リスク増大を恐れて国債の平均残存期間は3年を下回る水準にしている」

――寄り合い所帯との指摘がある。

「特に問題だと思っていない。もはや出身がどこかは関係なくなっている。この経済環境下ではそんなことを気にする余裕もないはずだ」

▼寄り合い所帯 行内融和カギ

拓銀、札幌銀の人材を束ねてきた北洋銀は寄り合い所帯とも評される。今でも営業現場には北洋銀出身の「はまなす系」と拓銀出身の「すずらん系」といったすみ分けがある。システム統合により確かに仕事のやり方は統一されたが、特に中堅以上の層では帰属意識や企業文化の面では一体化が図れていない。

拓銀出身の石井氏の頭取昇格に対して複雑な思いを抱く職員もいる。先行きが見通せぬ厳しい時代だからこそ、一体となって課題にあたるために、石井氏は行内融和に取り組むべきだろう。

この企画は竹内弘文が担当しました。

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