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海鮮倶楽部、マルハニチロとナマコ養殖で提携

ナマコ養殖に取り組む海鮮倶楽部(上ノ国町、加藤卓也社長)は、マルハニチロホールディングス(HD)の中核子会社、マルハニチロ水産(東京・江東)と事業提携する。共同出資で新会社を上ノ国町に設立し、ナマコの育成から輸出まで一体的に取り組む。中国向けを中心に価格が高騰しており、事業が軌道に乗れば、雇用創出など地域経済再生につながる可能性もある。

新会社は「マルハニチロ上ノ国海産」で、2011年12月に設立登記した。資本金は1000万円で、出資比率はマルハ側が60%、海鮮倶楽部が40%。新会社社長には海鮮倶楽部の加藤社長、同じく代表権を持つ取締役にマルハニチロ水産の草野孝・取締役増養殖事業部長が就いた。

海鮮倶楽部は10年春から、上ノ国町内に海水を引き込んで約7500平方メートルのナマコ養殖池を作り、親ナマコの輸出や稚魚に相当するナマコ種苗の外部販売を始めている。10年5月期の売上高は8億円で、昨年は約93万の種苗を生産している。新会社がこの池を借りて育成から出荷まで担うほか、今後新たな種苗施設などを増設する。

海鮮倶楽部は6年前から中国・大連のナマコ養殖の専門家を招き、試行錯誤して養殖技術を確立。当初は独自に中国への輸出事業を展開する方針だったが、大手水産会社と組むことで「よりブランド価値を高めて、地域おこしに生かしたい」(加藤社長)とし、マルハ側との提携を決めた。

道産ナマコは中国で最高級品と評価され、価格が高騰している。檜山振興局の管内漁獲調査によると、ナマコ1キロ当たりの平均価格は00年には691円だったが、11年には5954円に上がった。管内品目別漁獲額では、イカに次ぐ品目になった。

マルハニチロHDは全国9カ所でクロマグロやカンパチ、ブリの養殖事業を展開。クロマグロなど資源の枯渇が懸念される中、高い魚価が期待できる魚を安定的に生産し、収益確保につなげることを大きな目的にしている。同社にとってナマコ養殖事業の拠点を持つのは初めて。海鮮倶楽部にとっても、強力な販売網を持つ大手水産会社との提携で、中国市場での道産ナマコブランドの浸透と販路拡大が期待できる。

海鮮倶楽部がマルハニチロ水産と事業提携する背景には、ナマコ養殖という「つくる漁業」で地域活性化につなげる狙いもある。全国的に漁業の後継者が不足し、道南地域でも担い手確保が急務になっている。

海鮮倶楽部では、ナマコ種苗を漁港に放流して育て、ダイバーが港内を潜って漁獲する新たな漁法を計画している。沿岸に放流する従来方法より歩留まりがいい。雇用創出が見込まれ、道南を中心に道内漁協と連携する方針。加藤社長は「安定した収入が生み出せれば、地元を離れた若者が戻ってくる」と意気込む。

道内の研究機関でもナマコ養殖技術の確立を目指し研究が進められている。海鮮倶楽部の養殖技術についても漁業関係者の中には「研究途上」と見る向きもある。ただ、国内大手水産会社との連携で研究加速も見込まれる。地元からも「(海鮮倶楽部の)新しい漁業が地域漁業の意識を変革してくれるはずだ」(工藤昇・上ノ国町長)と期待が高まっている。

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